「古着屋を始めたいけど、仕入れにいくらかけたらええんやろう?」「ジャンルやコンディションで、どれくらい原価率が変わるんやろうか?」こういう悩み、めちゃくちゃ多く聞きます。
私、佐藤健一は大阪で15年以上、古着ビジネス一筋でやってきました。自分でも3店舗まで広げた経験があるし、今はコンサルとして年間50社以上の立ち上げ・成長支援をしています。正直に言うと、私自身も最初の頃は仕入れ相場が分からんで300万円の損失を出した苦い過去があります。だからこそ、これから古着ビジネスに挑戦する皆さんに、リアルな数字をお伝えしたい。
この記事では2026年の最新相場をもとに、ジャンル別・コンディション別の原価率を全部オープンにします。読み終わる頃には、自分のお店の利益設計が頭の中でクッキリ描けるようになるはずです。
目次
古着の仕入れ相場と原価率の全体像(2026年最新動向)
2026年の古着市場規模はどこまで伸びているのか
まず、市場の温度感から押さえてもらいたいんです。なぜかというと、市場が伸びている時と縮んでいる時では、仕入れ戦略が全く変わるからですね。
矢野経済研究所の調査によると、2024年の国内ファッションリユース市場は1兆2,800億円(前年比111.3%)で、2021年から二桁成長を続けています。詳しくは矢野経済研究所のファッションリユース市場に関する調査をご覧ください。
リサイクル通信が発表した2024年のリユース業界全体の市場規模は3兆2,628億円で、これは15年連続の拡大やと報告されています(リユース業界の市場規模推計2025を参照)。
私が現場で感じる肌感覚としても、2024年から2026年にかけてはインバウンド需要、サステナブル意識、Z世代の古着ブームの3本柱で市場が伸び続けています。要するに「今は仕入れに強気で出てもいい時期」やということです。
古着販売における原価率の基本的な考え方
原価率の話に入る前に、皆さんに一つ質問させてください。「原価率は低い方がいい」と思ってませんか?
正解は半分合ってて、半分間違いです。古着業界の原価率は10~60%とジャンルによって大きく振れますが、平均すると30%前後で着地するケースが多いです。一般的なアパレルショップの理想原価率は30~35%とされていますから、古着業界はそれより少し低い水準で推移しているということになります。
ただ、原価率を下げすぎると「商品が売れ残る」というリスクが跳ね上がります。私の経験では、原価率20%を切るような強気の値付けは、回転率が落ちて結果的に利益が減ることが多いです。逆に40~50%でも、回転が早ければトータルの利益額は伸びます。
| 指標 | 一般的なアパレル | 古着業界の平均 |
|---|---|---|
| 原価率 | 25~35% | 30%前後(10~60%) |
| 粗利益率 | 65~75% | 40~90% |
| 在庫回転率 | 年4~6回転 | 年6~12回転(人気ジャンル) |
この数字を頭に入れた上で、自分のお店のポジションを決めていくのが大事です。
仕入れルート別の価格帯マップ
仕入れルートによって、同じ商品でも価格が3倍以上変わることもあります。代表的なルートは次の通りです。
- 海外ベール仕入れ(アメリカ・ヨーロッパ):1着あたり200~500円
- 国内古着卸業者からの卸仕入れ:1着あたり500~2,000円
- 業者市場・古物市場での落札:1着あたり1,000~5,000円
- 個人からの買取:1着あたり500~10,000円(ブランド・状態次第)
- ブランド古着の仲介・委託仕入れ:1着あたり3,000~30,000円
私の店でも、この5つのルートを使い分けてました。ベール仕入れだけに頼ってしもうたら品質コントロールが難しくなるし、買取だけやと量が確保できんからね。
ジャンル別・古着の仕入れ相場と原価率
ここからが本題です。ジャンルごとに、私が現場で実際に使ってる相場感をお伝えします。
Tシャツ・カットソーの仕入れ相場
Tシャツは古着業界で一番流通量が多いジャンルです。それだけに、相場の幅も極端に広くなります。
ノーブランドの量販系Tシャツは、ベール仕入れで1着100~300円、店頭販売価格は1,500~3,500円が標準ラインです。原価率にすると7~15%程度。一見めちゃくちゃ低く見えますが、Tシャツは1点単価が低い分、仕入れ手間や検品コストがかさむので、実質の利益率はもう少し下がります。
一方、バンドTやスポーツTのヴィンテージは話が変わってきます。1990年代のバンドTで状態の良いものは、卸仕入れで5,000~30,000円、販売価格は20,000~80,000円といったレンジになります。原価率20~40%くらいで回せれば優秀です。
私が2014年に体験した話なんですが、ニルヴァーナの90年代ツアーTを15,000円で仕入れて、98,000円で売れたことがあります。原価率約15%。こういう「当たり」を引くには、やっぱり真贋を見抜く目を鍛えるしかないんです。
デニム・ボトムスの仕入れ相場
デニムは古着業界の花形ジャンルです。利益も大きく取りやすいので、私のお店でも売上の3割を占めてました。
レギュラー古着のデニムは、ベール仕入れで1本300~800円、卸で1,500~4,000円、販売価格は3,000~9,000円が中心レンジです。原価率は15~30%くらいに収まります。
ヴィンテージデニムになると一気に跳ねます。リーバイス501の70~80年代モデルは仕入れ8,000~25,000円で、販売価格20,000~60,000円。デッドストックの501XX(1950年代)の美品は、過去に60万円前後で取引された事例もあります。
| ジャンル | 仕入れ単価 | 販売価格目安 | 原価率目安 |
|---|---|---|---|
| レギュラー古着デニム | 300~4,000円 | 3,000~9,000円 | 15~30% |
| 90年代USAデニム | 3,000~8,000円 | 8,000~18,000円 | 25~40% |
| 70~80年代501 | 8,000~25,000円 | 20,000~60,000円 | 25~40% |
| デッドストック501XX | 50,000~200,000円 | 200,000~600,000円 | 25~35% |
オークファンの直近30日のデータでは、古着デニムの平均落札価格は6,579円となっています。ここを基準値として頭に入れておくと、仕入れ判断のスピードが上がります。
スウェット・パーカーの仕入れ相場
スウェット・パーカーは、ストリート系のお店なら絶対に押さえとかなあかんジャンルです。特にチャンピオンのリバースウィーブは、年代モノだと需要が高い。
ノーブランドや量販系のスウェットは、ベール仕入れで1着200~600円、販売価格1,800~4,500円。原価率は10~20%ほど。
90年代のチャンピオンUSA製、ナイキ・アディダスのヴィンテージスウェットなんかは、仕入れ2,000~8,000円、販売価格8,000~25,000円。原価率は20~35%が目安です。
私の店では、スウェットの在庫回転を上げるために「秋冬の前倒し仕入れ」を徹底してました。8月にしっかり仕入れて、9月後半から販売を本格化する流れです。これだけで売上が前年比130%伸びた年もあります。
ジャケット・アウターの仕入れ相場
アウターは1点単価が高い分、外したときのダメージも大きいジャンルです。仕入れの目利きが特に重要やと思います。
ノーブランドの古着アウターは、ベール仕入れで500~1,500円、販売価格3,500~12,000円。原価率は12~25%。
ミリタリー系(M-65、N-3Bなど)、デザイナーズブランドのアウターになると、仕入れ5,000~30,000円、販売価格15,000~80,000円。原価率は25~40%。
特に注意してほしいのが、レザージャケット類です。シミ・カビ・破れがあるとほぼ売れません。仕入れ時に必ず内側まで確認すること。これは絶対にやったらあかん失敗パターンです。
ヴィンテージ・ブランド古着の仕入れ相場
ヴィンテージ古着は、製造から30年以上経過したものを指すのが業界の暗黙ルールです。ここは別世界なんで、初心者が手を出すなら慎重にいってほしい。
| カテゴリ | 仕入れ単価 | 販売価格目安 | 原価率目安 |
|---|---|---|---|
| 一般的なヴィンテージ | 5,000~30,000円 | 15,000~80,000円 | 25~40% |
| Levi’s・Patagonia等の人気ブランド | 10,000~80,000円 | 30,000~150,000円 | 30~50% |
| 希少なデッドストック | 30,000~300,000円 | 100,000~600,000円 | 30~50% |
| ハイブランド古着(GUCCI等) | 20,000~200,000円 | 50,000~400,000円 | 35~55% |
ここで強調したいのが、ハイブランド古着は原価率が高めでも回さなあかんということ。なぜかというと、真贋鑑定のリスクと在庫保管コストが大きく、回転を早めないと現金がしんどくなるからです。私もブランド古着の在庫が膨らみすぎて、3ヶ月キャッシュフローに苦しんだ経験があります。
コンディション別の原価率と販売価格の付け方
ジャンルが決まっても、コンディションで価格は大きく変わります。業界では一般的にS・A・B・Cの4段階でランクづけしますが、店ごとに基準はバラバラやから、自分のお店の基準をしっかり言語化することが大事です。
Sランク:デッドストック・新品同様
タグ付き未使用品やデッドストックがこのランクです。希少性で価値が決まるので、ヴィンテージのSランクは仕入れ値も販売価格も跳ね上がります。
仕入れ価格は標準品の1.5~3倍、販売価格も2~4倍に設定できる場合が多いです。原価率は意外と高めで、35~50%になることも珍しくありません。
ただし「Sランクやから絶対売れる」とは限らんのです。希少性とトレンドが合致して初めて高値が付きます。私の経験で言うと、Sランクで仕入れたヴィンテージのうち約3割は値下げを余儀なくされました。
Aランク:使用感の少ない極美品
ほとんど使用感がなく、汚れやダメージがほぼないコンディション。一番回転が早く、一番利益を稼げる主力ランクです。
仕入れ価格は標準品とほぼ同等~1.2倍、販売価格は標準品の1.2~1.5倍。原価率は20~30%の範囲に収まることが多いです。
私の店では「Aランクで原価率25%を切ったら回転重視で値下げOK」というルールを作ってました。Aランクは仕入れの主軸にすべきです。
Bランク:標準的な使用感あり
使用感はあるけど、目立つダメージや汚れがない一般的な古着。これが古着屋の在庫の半分以上を占めます。
仕入れ価格は安く、販売価格も標準ライン。原価率は10~25%とお店にとって優しい数字になります。
ただ、Bランクばっかりに偏ると「うちの店、なんか普通やな」と思われてしまいます。AランクやSランクとのバランスが大事ですね。
Cランク:ダメージや汚れあり
部分的に目立つダメージや汚れがあるランク。普通に値付けすると売れにくいので、ダメージの個性を「味」として打ち出すか、リペア前提で安く出すかの判断になります。
仕入れ価格はかなり安く、ベールで100~300円、販売価格は1,500~3,000円。原価率は5~15%ほど。
ヴィンテージ好きの中には、ダメージがあるからこそ価値を感じる層もいます。ダメージ加工系のジーンズやリペア前提のミリタリー古着は、Cランクでも商売になります。
私が指導してきた古着屋経営者の中には、Cランクをリペアして「リメイク古着」として販売価格5,000~15,000円で売る人もいます。原価率を意識しつつ、付加価値で勝負する発想。これは絶対に覚えといてほしい考え方です。
仕入れ価格を抑えて利益率を上げる5つの実践ポイント
ここからは、私が15年の現場経験で身につけた仕入れの原則をお伝えします。一発で大儲けする方法ではなくて、コツコツ続けて結果を出すための地道な技術です。
ベール仕入れを賢く使い分ける
ベールは古着が圧縮梱包された塊で、重量で価格が決まります。45kg規格が業界標準で、価格は15,000~30,000円が目安。kg単価でいうと、未開封の良質なアンタッチドベールが1,100円/kg、ミックスベールが550円/kg程度です。
| ベール種別 | 価格目安(45kg) | 1着あたり | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| アンタッチドベール(未開封・高品質) | 約30,000~50,000円 | 200~500円 | 選別前提の本格仕入れ |
| ミックスベール(標準品) | 約15,000~25,000円 | 100~300円 | 量を確保したい時 |
| ピックアップ仕入れ(選別済み) | 1着500~2,000円 | 500~2,000円 | 即戦力商品 |
ベール仕入れの最大のメリットは仕入れ単価の低さですが、デメリットは中身が選べんこと。初心者がいきなり大ベールに手を出すと、半分くらい使えん商品が出てくることもあります。私のおすすめは「最初は22.5kgのハーフベールから始める」「慣れてきたら45kgに」という段階的なアプローチです。
信頼できる卸業者と長期の関係を築く
これは私が一番伝えたいポイントです。2012年に格安の海外業者から大量仕入れをして300万円の損失を出した話、冒頭でも触れました。原因はシンプルで、信頼できる業者やなかったことに尽きます。
良い卸業者を見極めるチェックポイントを挙げておきます。
- 検品基準が明文化されている
- ベールを開けた時の写真や動画を事前に共有してくれる
- 不良品の返品・返金ポリシーが明確
- 業界歴5年以上の実績がある
- 定期的に在庫情報を提供してくれる
私が指導している起業家には「最初の1年は2社の業者に絞る」とアドバイスしています。複数社を試すのは大事やけど、関係が浅い間は値引き交渉も品質保証も期待できません。一緒に成長してくれる業者を1~2社、まずは見つけることです。
商品構成のバランスを意識する
古着屋でよく失敗するのが、価格帯が偏ること。安い商品ばっかりやと利益が出にくいし、高い商品ばっかりやと回転しません。
私が現場で使ってる黄金比率は、こんな感じです。
- エントリー帯(1,000円仕入→4,000~5,000円販売):在庫の70%
- ミドル帯(10,000円仕入→20,000円販売):在庫の20%
- ハイ帯(30,000円仕入→50,000円販売):在庫の10%
この比率を守ると、客層の幅が広がるし、店の格も保てます。エントリー帯で集客して、ハイ帯で利益を稼ぐ構造です。
コンディション査定の目を鍛える
これは経験の積み重ねでしか上達しません。私自身、若い頃は1日に200~300着を見て、毎日コンディションを言語化してました。
査定で絶対チェックすべきポイントは次の通りです。
- 襟・袖口・裾の擦れ
- 脇下・首回りの黄ばみ
- ボタン・ファスナー・ステッチのほつれ
- 内側の汚れ・シミ(特に裏地)
- におい(タバコ・汗・カビ)
におい、これ意外と見落としがちなんですが、古着販売では致命的です。クリーニングで取れんレベルの汗臭・カビ臭は、ほぼ商品にならんと思った方がいいです。
トレンドを半年先読みする
古着業界はトレンドの波に左右されます。Y2Kファッションが2024年に再熱したのも、その2年前から仕入れていた人だけが恩恵を受けました。
私のトレンド察知の情報源は、こんな感じです。
- 海外のヴィンテージ系インスタアカウント(特にニューヨーク・ロサンゼルスのバイヤー)
- 国内のセレクトショップの動向
- 雑誌・YouTubeでの取り上げられ方
- メルカリ・ヤフオクの落札相場の変化
特に大事なんは、相場の変化を月次でチェックすること。同じジャンルでも先月より落札価格が上がっていれば、市場が温まってる証拠です。逆に下がってれば、トレンドが終わりかけのサインです。
古着仕入れでよくある失敗例と回避法
最後に、私自身も経験したし、指導してきた起業家の8割が一度はやらかす失敗パターンを共有します。
安さだけで飛びついて在庫の山になるパターン
「このベール、kg単価300円やって!激安や!」こういう話に飛びつく人、ほんまに多いです。
でも考えてみてください。激安には激安なりの理由があります。シーズンオフの商品、状態が悪い商品、需要が薄いカテゴリ。安さだけで仕入れると、結局売れずに在庫が積み上がって、現金が回らなくなります。
回避法はシンプルで「自分が販売できる商品か」を一品ずつ頭の中でシミュレーションすることです。販売価格・回転期間・利益額を即答できんなら、その仕入れはやめといた方がいい。
季節を読まない仕入れで現金が回らないパターン
私が2010年にリーマンショックで売上半減した時、追い打ちをかけたのがこのパターンでした。冬物のアウターを夏に大量仕入れしてしもうて、3ヶ月以上在庫として寝かせる羽目になったんです。
古着の販売は、季節先取りが基本。アウターなら7~8月、Tシャツやアロハなら3~4月。先取りしすぎても寝かす期間が長くなりますから、ちょうど1~2ヶ月前から仕入れるのが理想です。
ジャンル偏重で売場が痩せていくパターン
「自分の好きなブランドばっかり仕入れる」これも初心者あるあるです。
古着屋は服屋でもあり、編集メディアでもあります。お客さんは「色んなテイストの中から自分に合うものを探したい」という気持ちで来店します。デニムだけ、Tシャツだけ、みたいな偏りはお店の魅力を削いでいきます。
私の店では「メンズ7:レディース3」「アメカジ4:ストリート3:ヨーロピアン2:ミリタリー1」みたいな黄金比率を作って、定期的に見直してました。自分の好みより、お客さんの動線で売場を組むこと。これが続く店の共通点です。
まとめ
ここまで、2026年最新の古着仕入れ相場とジャンル別・コンディション別の原価率を全部オープンにしてきました。改めてポイントをおさらいします。
- 古着業界の原価率は10~60%、平均30%前後
- 仕入れルート別の単価は、ベール仕入れで200~500円、卸仕入れで500~2,000円が中心
- ジャンル別ではTシャツ・デニムが利益の柱、ヴィンテージは目利き次第で大化け
- コンディションはS・A・B・Cの4段階。Aランクが回転と利益のバランスが一番良い
- 仕入れ価格を抑える5つのポイントは、ベール活用、業者との長期関係、商品構成バランス、査定力、トレンド先読み
- 失敗パターンは「安さに飛びつく」「季節を読まない」「ジャンル偏重」の3つ
正直に言うと、古着ビジネスは決して楽な商売やありません。私も2010年のリーマンショックで2店舗閉めたし、2012年には海外業者で300万円の損失も出しました。でも、コツコツ続けて15年。今も業界で生き残れているのは、こういう数字を一つひとつ積み上げてきたからやと思っています。
失敗は成功の母です。皆さんが一歩を踏み出す時、この記事の数字が判断の物差しになれば、これほど嬉しいことはありません。一緒に頑張りましょう!