古着ビジネスが軌道に乗ってきて、「そろそろ法人化した方がええんかな?」「でも、手続きとか難しそうやし、タイミングも分からへん…」って悩んでませんか?
私も15年以上この業界におりますけど、同じような相談をよう受けます。
個人事業主としてコツコツ頑張ってきたお店の売上が上がってくるのは、ほんまに嬉しいことやと思います。
でも、その一方で税金の負担が重くなってきたり、もっと大きな取引をしたくても「個人やから」って信用してもらえへんかったり、新しい壁にぶつかる時期でもありますわな。
そこで今回は、古着屋の経営者がどのタイミングで法人化を考えるべきか、私の失敗談も交えながら、税理士さんにも聞いた専門的な視点で、分かりやすく解説していきますで!
目次
正直に言うと、私も法人化で大きな失敗をしました
今でこそコンサルなんて偉そうなこと言うてますけど、私も昔は皆さんと同じように、現場で必死に古着を売ってた一人です。
そして、法人化のタイミングで大きな失敗をやらかしました。
これは正直、ちょっと恥ずかしい話なんですが、皆さんが同じ轍を踏まへんように、包み隠さずお話ししますわ。
売上だけ見て突っ走った結果、手元に残るお金が激減…
私の最初の店が軌道に乗って、年間の売上が1,000万円をポンと超えたときのことです。
「売上1,000万円超えたら法人化や!」って、周りからも言われてたし、自分でもそう思い込んでました。
税金のこともよう分からんまま、「なんか法人ってカッコええやん」くらいの軽い気持ちで、勢いだけで株式会社を設立したんです。
ところが、これが大きな間違いでした。
確かに法人になると税率が変わったりするんですが、それだけやないんです。
一番の誤算は「社会保険料」の負担でした。
個人事業主のときは国民健康保険と国民年金やったのが、法人になると社長一人でも厚生年金と健康保険(協会けんぽ)に入らなあかんのです。
この社会保険料、会社と個人で半分ずつ負担するとはいえ、かなりの金額になります。
役員報酬を30万円に設定したら、会社負担分だけで毎月4万円以上のお金が飛んでいく。
売上は上がってるはずやのに、税金払って、社会保険料払ったら、個人事業主のときより手元に残るお金がガクッと減ってしもたんです。
「何のために法人化したんや…」って、頭を抱えましたわ。
事務作業の多さにパンク寸前!本業に集中できへん日々
もう一つの失敗は、事務作業の煩雑さをなめてたことです。
個人事業主の確定申告も面倒やと思ってましたけど、法人の決算は比べ物にならんくらい複雑です。
貸借対照表?損益計算書?株主資本等変動計算書?
もう、カタカナと漢字のオンパレードで、何が何やらサッパリ。
税理士さんにお願いするにもお金がかかるし、自分でやろうにも時間がかかりすぎて、肝心の仕入れや接客に全く集中できへんようになりました。
結局、売上は伸び悩むし、お金の管理はグチャグチャになるしで、一時期は本気で店を畳むことも考えました。
この失敗があったからこそ、「法人化は勢いでするもんやない。ちゃんと知識をつけて、戦略的にやらなあかん」と心底思い知らされたんです。
そもそも個人事業主と法人って何がちゃうの?税理士さんに聞いてみた
私の失敗談ばっかり話してても仕方ないんで、ここで一度、冷静に「個人事業主」と「法人」の違いを整理しときましょか。
顧問税理士さんにも協力してもらって、特に古着屋オーナーに関係が深いポイントを4つにまとめました。
| 比較項目 | 個人事業主 | 法人(株式会社など) |
|---|---|---|
| 税金 | 所得に応じて税率が上がる所得税(5%~45%) | 所得に対してかかる法人税(最大23.2%) |
| 経費の範囲 | 事業に関する費用のみ | 役員報酬、退職金、生命保険料など範囲が広い |
| 社会的信用 | 個人としての信用 | 法人としての信用(融資や取引で有利) |
| 社会保険 | 従業員5人未満は任意加入 | 社長1人でも強制加入 |
①税金のかかり方が全然違う!「所得税」vs「法人税」
一番大きな違いは、利益(所得)にかかる税金です。
- 個人事業主:所得税
利益が上がれば上がるほど、税率も高くなる「累進課税」という仕組みです。国税庁によると、所得が900万円を超えると税率は33%、1,800万円を超えると40%と、どんどん上がっていきます。 - 法人:法人税
法人の利益に対してかかる税金で、税率は基本的に一定です。資本金1億円以下の中小企業の場合、所得800万円以下の部分は15%、800万円を超える部分は23.2%です(2025年12月現在)。
参考: 個人事業主と法人化はどっちが得?違い6選、それぞれのメリット・デメリット
つまり、利益が少ないうちは所得税の方が税率が低いですが、ある一定のラインを超えると、法人税の方が税負担が軽くなる可能性がある、ということですわな。
税理士さんからの補足
「法人化すると、ご自身の給料は『役員報酬』となり、経費として計上できます。この役員報酬には『給与所得控除』が適用されるため、個人事業主の所得がそのまま課税対象になるのに比べて、税負担を抑えられるメリットがあります。」
②経費にできる範囲が広がるんは大きなメリット
法人化すると、経費として認められる範囲がグッと広がります。
例えば、自分への給料である「役員報酬」や、家族を役員にして支払う給料も経費にできます。
他にも、出張手当(日当)を経費にできたり、生命保険料の一部を経費にできたりと、節税の選択肢が増えるんは大きな魅力です。
個人事業主やと、売上から経費を引いた残り全部が自分の所得になってまうけど、法人なら役員報酬という形で計画的に所得をコントロールできるわけです。
③社会的信用度がアップ!融資や取引で有利に
これは見過ごされがちやけど、めちゃくちゃ大事なポイントです。
一般的に、個人事業主よりも法人の方が社会的信用度は高くなります。
- 金融機関からの融資: 事業拡大のために融資を受けたいとき、法人の方が審査に通りやすい傾向があります。
- 取引先の拡大: 大手のセレクトショップや商業施設に出店したい場合、「法人であること」が取引条件になっていることも少なくありません。
- 人材採用: 求人を出すときも、法人の方がしっかりした会社というイメージを持たれやすく、優秀な人材が集まりやすいです。
将来的に事業を大きくしていきたいなら、法人化による信用の獲得は必須と言ってもええかもしれまへん。
④社会保険への加入義務は大きな違いやで
私の失敗談でも話した通り、社会保険は大きなポイントです。
個人事業主の場合、常時雇用する従業員が5人未満なら、厚生年金や健康保険への加入は任意です。
しかし、法人は社長が一人だけでも、役員報酬があれば社会保険への加入が法律で義務付けられています。
保険料は会社と個人で折半しますが、それでも毎月の固定費が増えることになります。
ただし、保障内容は国民健康保険よりも手厚く、将来もらえる年金額も国民年金に厚生年金が上乗せされるので、一概にデメリットとばかりは言えません。
古着屋が法人化すべき「3つのベストタイミング」
個人と法人の違いが分かったところで、いよいよ本題です。
「ほな、結局うちはいつ法人化したらええの?」という疑問にお答えします。
税理士さんの意見も踏まえて、古着屋が法人化を検討すべきベストタイミングを3つ紹介します。
タイミング①:利益(所得)が800万円を超えたとき
これが一番分かりやすい目安です。
一般的に、個人事業主の課税所得(売上から経費や各種控除を引いた金額)が800万円から900万円を超えるあたりが、所得税と法人税の税率が逆転し始めるポイントと言われています。
所得税は累進課税なので、900万円を超えると税率は33%になります。
一方、法人税は800万円を超える部分でも23.2%です。
もちろん、社会保険料の負担や住民税なども考慮する必要があるので一概には言えませんが、利益がコンスタントに800万円を超えるようになったら、税理士さんに相談して法人化した場合の税額シミュレーションをしてもらうのがおすすめです。
私の経験談
「売上」ではなく「利益」で判断するのがホンマに大事です。古着屋は仕入れがあるので、売上が高くても利益率はバラバラ。売上1,500万円でも利益が500万円の店もあれば、売上1,200万円で利益800万円の店もあります。自分の店の利益をしっかり把握することが第一歩やで。
タイミング②:売上が1,000万円を超え、消費税の納税義務が発生したとき
2年前の課税売上高が1,000万円を超えると、個人事業主は消費税の「課税事業者」となり、消費税を納める義務が発生します。
ここで法人化が選択肢になるのは、「消費税の免税期間」を活用できる可能性があるからです。
資本金1,000万円未満で法人を設立すると、原則として設立から最大2年間は消費税の納税が免除される場合があります。
個人事業主として売上が1,000万円を超えたタイミングで法人化すれば、本来消費税を納めるはずだった期間も免税事業者でいられる可能性があるんです。
これはかなり大きな節税メリットになります。
ただし、2023年10月から始まったインボイス制度の影響で、取引先との関係上、免税事業者でいることが難しいケースも増えています。
このあたりは複雑なので、必ず専門家に相談してください。
タイミング③:事業拡大で融資を受けたい、従業員を雇いたいとき
税金の話だけやなく、事業のステージが変わるときも法人化の大きなタイミングです。
- 融資を受けたい: 新店舗の出店や海外への買い付けなど、まとまった資金が必要になったとき。法人格がある方が、金融機関からの信用を得やすく、高額の融資を受けやすいです。
- 従業員を雇いたい: スタッフを雇って組織として店を大きくしていきたいとき。社会保険を完備している法人の方が、求職者にとって魅力的であり、安心して長く働いてもらえます。
- 多店舗展開したい: 2店舗、3店舗と展開していくなら、お金の管理や責任の所在を明確にするためにも法人化が適しています。
「守り」の節税だけでなく、「攻め」の事業拡大を見据えたときに、法人化は強力な武器になります。
これは絶対にやったらあかん!法人化の注意点と準備
法人化のメリットやタイミングが分かってくると、すぐにでも手続きしたくなるかもしれまへん。
でも、ちょっと待ってください。私のようにならんために、いくつか注意点と準備しておくべきことをお伝えします。
設立費用と維持コストを甘く見たらアカン
個人事業主は開業届を出すだけなので無料ですが、法人設立にはお金がかかります。
株式会社を設立する場合、定款認証や登録免許税などで、最低でも20万円~25万円程度は必要です。
さらに、設立後もコストがかかります。
たとえ事業が赤字でも、法人住民税の均等割(最低でも年間7万円程度)は毎年支払わなあきません。
他にも、税理士さんへの顧問料や社会保険料など、個人事業主のときにはなかった固定費が増えることを覚悟しておく必要があります。
プライベートのお金と会社のお金は完全に分ける!
個人事業主のときは、事業用の口座とプライベートの口座が曖昧になりがちですが、法人は絶対にNGです。
会社のお金は、あくまで会社のもの。社長個人のものではありません。
生活費などを会社の口座から勝手に引き出すことはできず、「役員報酬」として決められた額を毎月受け取ることになります。
このお金の管理を徹底せんと、税務調査で痛い目を見ることになりますで。
古物商許可は法人として取り直しが必要やで!
これは古着屋ならではの超重要ポイントです!
個人事業主として取得した「古物商許可」は、法人には引き継げません。
法人を設立したら、法人名義で新たに古物商許可を申請し直す必要があります。
申請にはまた時間と手間がかかるので、法人設立の手続きと並行して、警察署への確認や準備を進めておくことを強くおすすめします。これを忘れると、無許可営業になってしまう可能性があるので、ほんまに気をつけてください。
まとめ:法人化はゴールやない。事業を成長させるための手段やで!
ここまで色々とお話ししてきましたが、一番伝えたいのは「法人化はゴールではなく、あくまで事業を成長させるための手段の一つ」やということです。
周りが法人化してるからとか、カッコええからとか、そんな理由で焦る必要は全くありません。
自分の店の利益はどれくらいか、これからどういう店にしていきたいのか、そのためにはどんな信用や資金が必要なのか。
まずはそこをじっくり考えることが大切です。
そして、少しでも「うちもそろそろかな?」と思ったら、一人で悩まずに税理士さんのような専門家に相談してみてください。
客観的なアドバイスをもらうことで、自分にとってのベストな道筋が見えてくるはずです。
私の失敗談が、皆さんの成功への近道になれば、これほど嬉しいことはありません。
古着ビジネスは奥が深くて、ほんまに面白い仕事です。
コツコツ続けることが大事やから、一緒に頑張りましょう!