「自分だけのセンスで集めた古着を並べて、お客さんとファッション談議に花を咲かせる…」そんな夢を描いて古着屋を始めたいけど、「でも、先立つもんが…」「自己資金ゼロやし、無理やんな…」って、諦めかけてしまってはらへんやろか?
その気持ち、めっちゃ分かるで!ワシ、株式会社ヴィンテージ・サクセスの佐藤健一も、今でこそ大阪で3店舗の古着屋を経営して、500人以上の起家さんの相談に乗らせてもろてますけど、最初から順風満帆やったわけやない。
正直に言うと、ワシも資金繰りで地獄を見ましたわ。2010年のリーマンショックの時、売上が一気に半分になって、キャッシュが全然回らんようになったんです。毎日通帳の残高とにらめっこして、「明日、仕入れの支払いできるんか…?」って、夜も眠れんかった。あの時、もっとちゃんと資金調達の知識があったら、あんな辛い思いせんでも済んだはずや…って、今でも思います。
せやから、この記事を読んでくれてるあなたには、ワシみたいな遠回りをしてほしくない。今回は、中小企業診断士の資格も持つワシが、「自己資金ゼロ」から古着屋を始めるためのリアルな資金調達の方法、特に融資と補助金について、経験談を交えながらホンネで語らせてもらいます。ちょっと長いけど、最後までついてきてや!
目次
結論から言うで。自己資金ゼロは「可能やけど、オススメはせん」
いきなり夢を壊すようなこと言うて、すまん!でも、これが現実やねん。
「え、でもネットには自己資金ゼロでもOKって書いてたで?」って思うかもしれん。確かに、制度上は可能になってきてる。特に、後で詳しく話す日本政策金融公庫の「新規開業資金」は、2024年4月から自己資金要件が撤廃されたんや。
せやけど、ワシはオススメせん。なんでか?理由は3つあるんや。
なんでオススメせんのか?ホンネの理由
- 理由1:融資の審査がめちゃくちゃ厳しくなる
金融機関の担当者が何を見てるか、知ってるか?「この人、ほんまにこのビジネスに本気なんやろか?」ってとこやねん。自己資金ってのは、その「本気度」を示す一番分かりやすい指標なんよ。「この日のために、毎月コツコツ5万円ずつ貯めてきました」っていう通帳の履歴は、どんな立派な事業計画書よりも雄弁にあなたの覚悟を語ってくれるんやで。ゼロやと、「思いつきで言ってるだけちゃうか?」って思われても仕方ない。 - 理由2:開業後の運転資金で即死するリスクが高い
古着屋は、店を開けてすぐに売上が立つほど甘い商売やない。最初の3ヶ月、いや半年は赤字を覚悟せなあかん。その間の家賃、光熱費、自分の生活費…これ全部、運転資金から出ていくんや。融資で借りたお金は、仕入れや店舗の改装費(設備資金)であっという間に消えていく。手元にお金がない状態でスタートしたら、売上が立つ前に資金がショートして、あっけなく廃業や。ワシもこれで閉店寸前まで追い込まれたことがあるから、ホンマに怖いんやで。 - 理由3:精神的な余裕がゼロになる
「売上ゼロ、でも返済は毎月やってくる」このプレッシャーは想像を絶するで。お金の心配ばっかりしてたら、ええ仕入れもできんし、お客さんへの接客も疎かになる。悪循環にハマって、好きで始めたはずの古着が嫌いになってしまうかもしれん。そんな悲しいこと、ないやろ?
じゃあ、どないすんねん?目指すべき「最低限の自己資金」
「ほな、いくら貯めたらええねん!」って話やけど、ワシは「開業資金全体の3分の1、最低でも100万円」は用意してほしい、と指導してます。
例えば、開業に300万円かかるとしたら、100万円は自分で用意する。残りの200万円を融資で借りる、というイメージや。これくらいあると、金融機関からの信頼度も上がるし、開業後の運転資金にも少し余裕が生まれる。
「100万円なんて無理や…」って思うかもしれんけど、諦めたらあかんで。副業でも、今の給料からの天引き貯金でも、1年本気でやれば貯められる金額や。その「100万円を貯める」というプロセス自体が、あなたの覚悟を固めてくれる最高のトレーニングになるんやで。
これが王道!日本政策金融公庫の「新規開業資金」を使い倒せ!
自己資金の重要性を理解してもらった上で、いよいよ本題の融資の話や。古着屋を開業するなら、融資は「日本政策金融公庫」一択やと思ってくれてええ。なんでかって?
なんで公庫がええの?3つの理由
- 創業したての事業者の味方やから
普通の銀行(メガバンクとか地銀)は、実績のない個人にいきなりお金を貸してはくれへん。でも、日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、「日本の開業率を上げる」っていう使命があるから、これから頑張ろうって人を応援してくれるんや。 - 無担保・無保証人で借りられる可能性があるから
特に「新規開業資金」という制度は、原則として無担保・無保証人で融資を受けられる可能性がある。これは、家や土地みたいな担保も、保証人になってくれる親戚がおらん人にとっても、めちゃくちゃ大きなメリットや。 - 金利が低くて、返済期間も長いから
民間のローンに比べて金利が低いし、返済期間も長く設定できる。これが開業直後の資金繰りをどれだけ楽にしてくれるか…。経験者として、これはホンマにありがたいことやで。
融資担当者はココを見てる!事業計画書のキモになる3つのポイント
公庫から融資を受けるには、「事業計画書」の提出が必須や。この出来で9割決まると思ってもええ。担当者は毎日何十通も計画書を見てるプロやから、付け焼き刃の知識はすぐに見抜かれるで。ワシがコンサルでいつも言うてる、絶対に外せん3つのポイントを教えるわな。
- ポイント1:「自己資金」の見せ方
さっき100万円貯めろって言うたけど、ただ「100万円あります」ではアカンねん。どうやって貯めたかが重要。半年前から毎月コツコツ貯金してる通帳のコピーは最高の資料や。もし親から援助してもらう場合は、「贈与契約書」をちゃんと作ること。「タンス預金です」とか「一時的に友達から借りました」みたいな「見せ金」は一発でバレるし、信用を失うから絶対にやったらあかん。 - ポイント2:「経験」のアピール
担当者は「なんでアンタが古着屋で成功できるんや?」ってところを知りたいねん。ここでアピールすべきは、あなたの経験や。- 「アパレルで5年間販売員をして、店長経験もあります」
- 「趣味で始めたインスタの古着アカウントで、フォロワーが5000人います」
- 「毎月フリマアプリで10万円の売上を立てています」
なんでもええ。古着ビジネスに繋がりそうな経験を、具体的な数字を交えて書くんや。「服が好きだから」だけでは、ただの趣味やと思われてしまうで。
- ポイント3:「売上計画」のリアルさ
一番やったらあかんのが、根拠のない売上計画。「1ヶ月で100万円売ります!」って書いても、「ほんで、どうやって?」って突っ込まれて終わりや。リアルな計画は、分解して積み上げて作るんや。 【売上計画の良い例・悪い例】
項目 | 悪い例 | 良い例 |
---|---|---|
売上目標 | 月商100万円 | 月商48万円 |
計算根拠 | (根拠なし。なんとなく) | 客単価: 6,000円 平日客数: 1日平均5人 × 20日 = 100人 土日客数: 1日平均10人 × 8日 = 80人 合計客数: 180人 客単価×購入率×客数: 6,000円 × 80% × 100人 = 48万円 |
集客方法 | SNSを頑張る | ・Instagramで毎日コーディネート投稿(ターゲット:20代男性) ・近隣の大学にチラシを配布(月500枚) ・地域情報誌に広告掲載(月1回) |
どうや?良い例の方が、具体的に行動してる姿が目に浮かぶやろ?「この人、ちゃんと考えてるな」って思わせたら勝ちや。
面談で絶対にやったらあかんこと
書類審査が通ったら、担当者との面談や。ここで油断したらアカンで。
- 嘘をつく、話を盛る: 事業計画書に書いたことと違うことを言うのは最悪や。
- 根拠のない自信: 「絶対いけます!」より「計画通りにいけば、これくらいの売上は見込めます」の方が信頼される。
- 質問に答えられない: 自分の事業計画書の内容は、隅から隅まで頭に入れておくこと。数字の根拠を聞かれて答えられへんかったら、「他人に作ってもらったんか?」って思われるで。
- 態度が悪い: 担当者も人間や。「お金を貸してやる」じゃなくて、「どうかお願いします」という謙虚な姿勢が大事やで。
返さんでええお金!?補助金・助成金を活用せな損やで!
融資はあくまで「借金」やけど、補助金は国や自治体がくれる「返さんでええお金」や。これは使わな絶対に損!古着屋の開業で狙い目なのは、これや。
初心者向けはコレ!「小規模事業者持続化補助金」
小規模事業者持続化補助金は、小規模な事業者が販路開拓に取り組む経費の一部を補助してくれる制度や。古着屋やと、こんなことにお金が使えるんやで。
- 広報費: お店のオープンを知らせるチラシの作成やポスティング費用
- ウェブサイト関連費: オンラインストアの構築費用や、ネット広告の費用
- 展示会等出展費: 地域のイベントに出店する際のブース代など
- 店舗改装費: お店の看板や内装工事の一部(※補助対象になるか要確認)
補助額は通常枠で最大50万円、特定の要件を満たすと最大250万円になることもある。申請には商工会議所のサポートが必要やったり、書類作成がちょっと面倒やけど、挑戦する価値は十分にあるで。
採択されるコツは、「この投資によって、うちの店の売上がどう伸びて、地域にどう貢献できるか」を熱意をもってストーリーで語ることや。ただ「HPが欲しいです」やなくて、「ECサイトを作って、全国の古着ファンにうちの店の魅力を届けたい!それによって、シャッター街になりつつあるこの商店街に新しい人の流れを作りたいんです!」みたいに書くと、審査員の心に響くんや。
他にもあるで!自治体独自の補助金を見つける方法
国がやってる補助金だけやない。あなたがお見せを出そうとしてる市区町村が、独自の創業者向け補助金を用意してる場合も多いんや。
これは、「ミラサポplus」とか「J-Net21」みたいな国のサイトで探すこともできるし、一番手っ取り早いのは「〇〇市 創業 補助金」で検索してみることや。意外なお宝が見つかるかもしれんで。
忘れんといて!資金調達の前にやるべき大事なこと
お金の算段がつくと、すぐにでも物件探しや!って気持ちが逸るけど、ちょっと待ってや。その前に、絶対にやらなあかんことがある。
古物商許可証の取得はマストやで!
中古品をビジネスとして売買するには、「古物商許可」が絶対に必要やねん。これがないまま営業したら、法律違反で罰せられることもある。
申請は、お店を出す場所を管轄する警察署の防犯係が窓口や。申請してから許可が下りるまで、大体40日くらいかかるから、早め早めに動くことが大事やで。必要な書類もいくつかあるから、まずは警察署に相談に行くことから始めよし。
信頼できるパートナーを見つけることの重要性
お金も許可もOK。さあ、いよいよ仕入れや!ってなるけど、ここで焦ったらアカン。ワシが一番手痛い失敗をしたのが、この仕入れやねん。
2012年のことやけど、海外の業者から「質のええヴィンテージが格安で手に入る」って話に飛びついて、300万円分も仕入れたんや。でも、届いたコンテナを開けて愕然としたわ。半分以上が、穴だらけ、シミだらけの、とてもやないけど店に出せんようなボロ雑巾やった。電話しても「知らん」の一点張り。結局、その300万円は丸々ドブに捨てることになった。あの時はホンマに会社が潰れるかと思ったわ…。
この失敗から学んだのは、「安さだけで仕入れ先を選んだらあかん。信頼できるパートナーと長く付き合うことが何より大事」ってことや。特に海外から仕入れるなら、品質管理をちゃんとやってくれるかどうかが生命線になる。
海外仕入れを考えるなら、現地に日本人スタッフがいて、品質管理をしっかりやってくれるパートナーが必須や。例えば、タイやパキスタンに自社の拠点を構えて、検品から発送まで一貫して管理してくれる専門企業なんかは、初心者でも安心して取引できるから、選択肢の一つとして検討してみる価値は十分あるで。目先の安さより、長期的な安心と信頼を選ぶんや。
まとめ:一歩踏み出す勇気と、コツコツ続ける覚悟が大事やで
長々と話してきたけど、伝わったやろか?
- 自己資金ゼロは可能やけど、リスクが高い。まずは100万円を目標に貯める覚悟を決めよし!
- 融資は日本政策金融公庫の「新規開業資金」が王道。リアルな事業計画書がカギや!
- 返さんでええ「補助金」も積極的に活用せな損!
- お金の前に「古物商許可」と「信頼できる仕入れ先」の確保を忘れんといて!
資金調達は、ゴールやない。ようやくスタートラインに立つための準備運動みたいなもんや。本当に大変なのは、店を開けてから。売上が上がらん日も、クレームを受ける日も、孤独で辞めたくなる日も、きっと来る。
でもな、それを乗り越えた先には、自分の好きな服に囲まれて、お客さんの「これ、めっちゃええやん!」っていう笑顔に出会える、最高の毎日が待ってるんやで。
ワシも数えきれんくらい失敗してきた。でも、その度に立ち上がってきたから今がある。「失敗は成功の母」って言うけど、ホンマにその通りや。
この記事を読んで、少しでも前に進む勇気が湧いてきたなら、ワシは嬉しい。不安なこと、分からんことがあったら、いつでも頼ってや。
一緒に頑張りましょう!