「タイやパキスタンで古着を安く仕入れて一攫千金!」なんて、夢のある話に聞こえますやろか?正直に言うて、ワシも昔はそう思てました。でもな、そんな甘い話ばかりやないのが、この世界のリアルなところやで。
こんにちは、古着ビジネス専門コンサルタントの佐藤健一です。現地に行けば何とかなるやろ、と軽い気持ちで飛び込んで、大やけどした起業家を何人も見てきました。ワシ自身も、パキスタンで300万円という大金を失った苦い経験があります。
この記事では、ワシ自身が300万円の損失を出したパキスタンでの大失敗の経験も包み隠さずお話ししながら、タイ・パキスタン現地仕入れの天国と地獄、そのリアルな実態を徹底的に解説します。これを読めば、あなたが今、本当に現地へ行くべきかどうかが分かるはずや。
甘い夢を見るのは自由やけど、現実を知らずに大金を失うのは、あまりにももったいない。ワシの失敗を教訓に、賢い選択をしてもらいたい。そんな思いで、今日は本音で語らせてもらいます。
目次
ワシも大失敗した!タイ・パキスタン古着仕入れの甘い罠
「宝の山」やと思ったら「ゴミの山」やったパキスタンでの初仕入れ
2012年3月、大阪で開催された古着業界の展示会。ワシはその時、2店舗を運営して月商1,500万円ほどの売上を上げてました。リーマンショックの影響も落ち着いて、「さあ、これから事業拡大や!」と意気込んでた時期でした。
そこで出会ったのが、パキスタン系のブローカー「ハッサン」という男でした。流暢な日本語で「佐藤さん、カラチに極上のヴィンテージベールがあるんです。日本では絶対に手に入らないレアアイテムが山積みですよ」と、甘い言葉で誘ってきたんです。
ハッサンが見せてくれた写真には、状態の良いリーバイス501やチャンピオンのスウェット、ナイキのヴィンテージスニーカーが写ってました。「これが普通にベールに入ってるんです。1ベール約100キロで3万円。計算してみてください、1点300円ですよ」
当時、ワシが国内で仕入れてた古着の平均単価は800円。それが300円で仕入れられるなら、利益率は大幅に改善される。競合他社に対しても圧倒的な優位性を確保できる。そう考えたワシは、完全にハッサンの話に魅力を感じてしまいました。
「でも、現地を見てから決めたいな」とワシが言うと、ハッサンは「時間がないんです。来月には他の日本の業者が大量に買い付ける予定で、今しかないチャンスなんです」と、プレッシャーをかけてきました。今思えば、これが典型的な詐欺師の手口やったんですが、当時のワシは事業拡大への焦りもあって、冷静な判断ができてませんでした。
結局、40フィートコンテナ1本分、100ベール(約10トン)の契約を結んでしまいました。商品代金300万円、輸送費150万円、総額450万円という大金を、前払い100%という危険な条件で支払ったんです。
5月に出荷されて、7月に日本到着予定。その2ヶ月間は、期待と不安が入り混じった日々でした。新店舗の開店計画を立てたり、スタッフに「大型仕入れが成功した」と報告したり、家族にも「事業拡大が決まった」と説明してました。今思えば、取らぬ狸の皮算用もええところでしたが。
そして運命の2012年7月15日。大阪港での通関手続きが完了して、倉庫でいよいよ開封作業が始まりました。最初のベールを開けた時は、期待通りのヴィンテージジーンズが出てきて、「やったー!」と思いました。2番目のベールも、まあまあの古着が中心で、「こんなもんかな」という感じでした。
でも、3番目のベールを開けた瞬間、血の気が引きました。出てきたのは、ボロ布、汚れた衣類、明らかにゴミ同然の品物ばかり。虫食いやカビ、異臭のする衣類もありました。一部には、明らかに工業用ウエスとして使われたような布切れや、動物の毛や排泄物らしき汚れが付いた衣類まで混じってました。
100ベール全部を開けた結果、販売可能なレベルの商品はわずか15ベールだけ。残りの85ベールは、完全に廃棄レベルでした。販売可能商品の価値は原価ベースで約150万円。総投資額450万円に対して、純損失は300万円。さらに廃棄費用として50万円が追加でかかりました。
すぐにハッサンに連絡して「サンプルと全然違うやないか!」と抗議しましたが、「ベール買いはギャンブルです。返品はできません」の一点張り。「次回はもっと良いものを用意します」なんて空約束をされましたが、もう信用できるわけがありません。
言葉の壁と商習慣の違いを痛感しました。日本の商取引では考えられないような、一方的で不誠実な対応。泣き寝入りするしかありませんでした。
この失敗から学んだ「安さ」より大事なこと
この300万円の大損失から、ワシは人生で最も大切な教訓を学びました。それは「安さ」という言葉の魔力に踊らされてはいけない、ということです。
古着ビジネスで最も重要なのは、商品そのものの価格やない。「誰から買うか」という信頼関係の構築なんです。どんなに安くても、信頼できない相手から買った商品は、結果的に高い買い物になってしまう。
ハッサンの提示した「1点300円」という価格は確かに魅力的でした。でも、その裏には「品質保証なし」「返品不可」「現地視察拒否」という大きなリスクが隠れてました。安さには必ず理由がある。その理由を見極めずに飛び込んだワシが、完全にアホやったんです。
この経験があったからこそ、ワシは目先の利益に囚われず、長期的な視点でビジネスを考えられるようになりました。信頼できるパートナーとの関係構築に時間とお金を投資することの大切さ。一見遠回りに見えても、それが一番の近道やということを、身をもって学んだんです。
今、ワシが指導してる起業家の皆さんには、必ずこの話をします。「佐藤さんの失敗を教訓に、同じ轍を踏まないでください」って。失敗は恥ずかしいことやけど、それを隠して後進が同じ失敗をするのは、もっと恥ずかしいことやと思ってます。
【徹底比較】タイ・パキスタン古着仕入れのメリット
失敗談ばかり話してると、「じゃあ海外仕入れは全部ダメなんか?」と思われるかもしれませんが、そうやありません。適切な知識と準備があれば、確かに大きなメリットがあるのも事実です。ワシ自身、失敗の後に正しいやり方を学んで、年間500万円の利益を生むタイルートを確立できました。
ここでは、タイとパキスタンでの古着仕入れの本当のメリットを、現実的な視点で解説します。
メリット1:圧倒的な価格の安さと物量
まず何と言っても、価格の安さは圧倒的です。タイのバンコクでは、Tシャツ1枚100円からという価格設定も珍しくありません。ワシが2010年にチャトチャック市場で初めて仕入れをした時は、1日で50点のヴィンテージTシャツを1点平均200円で仕入れることができました。これを日本で販売すると、1点平均2,000円。利益率90%という、国内仕入れでは考えられない数字でした。
パキスタンはさらにスケールが違います。首都カラチにある輸出加工地区(KEPZ)には、世界中から古着が集まってきます。2016年のデータでは、パキスタンは約84万トンの古着を輸入しており、これは世界第1位の数字です。タイやマレーシアを大きく上回る物量が、この国に集中してるんです。
なぜパキスタンにこれほど古着が集まるかというと、KEPZが無税ゾーンになってるからです。欧米や日本、中国から輸出された古着が、人件費の安いパキスタンで仕分け作業されてるんです。つまり、市場に出回る前の「源流」で仕入れができる可能性があるということです。
ベール買いという方法を使えば、さらに大量仕入れが可能になります。古着が圧縮されたまとめ売りで、1ベール約100キロが相場です。タイでは1ベール5万円前後、パキスタンでは3万円前後が目安。うまくいけば、1点あたり300円~500円での仕入れが実現できます。
ただし、これはあくまで「当たり」を引いた場合の話です。ワシの失敗談でも分かる通り、ベール買いは完全にギャンブル。この点は絶対に忘れたらアカンです。
メリット2:日本では見つからん「一点モノ」との出会い
価格だけやなく、商品の希少性も大きな魅力です。日本ではなかなかお目にかかれない珍しいデザインや、思わぬヴィンテージ品に出会える「宝探し」の楽しさがあります。
タイで見つかりやすいのは、バンドTシャツやキャラクターものです。80年代~90年代のロックバンドのツアーTシャツや、ディズニーやワーナーブラザーズの古いキャラクターTシャツなど、日本のコレクターが喉から手が出るほど欲しがるアイテムが、驚くほど安く手に入ることがあります。
パキスタンでは、ミリタリーウェアやネルシャツが豊富です。アメリカ軍の放出品や、ヨーロッパの古いワークウェアなど、男性向けのヴィンテージアイテムが充実してます。特に、日本では入手困難なサイズ展開(XLやXXL)も豊富で、大きいサイズを求める顧客層には非常に喜ばれます。
また、日本の古着も「ユーズド・イン・ジャパン」というブランド価値を持って、現地で高く評価されてます。逆輸入的に、日本のヴィンテージアイテムを現地で発見することもあります。90年代の日本のアニメTシャツや、古いゲームメーカーのノベルティグッズなど、日本人でも忘れてるようなレアアイテムが眠ってることがあるんです。
欧米からの古着も大量に流入してるため、アメリカやヨーロッパのヴィンテージブランドも豊富です。リーバイス、リー、ラングラーなどのデニムブランドはもちろん、チャンピオン、ラッセル、ヘインズなどのスウェットブランドも充実してます。
ワシがタイで見つけた中で一番印象的やったのは、1970年代のハーレーダビッドソンのディーラーTシャツでした。200円で仕入れたそのTシャツは、日本で8万円で売れました。こういう「一点モノ」との出会いが、古着仕入れの醍醐味なんです。
ただし、これも「運」の要素が大きいことは否定できません。毎回こんな掘り出し物が見つかるわけやないし、偽物も多く混じってます。目利きの力と、相当な忍耐力が必要やということは、肝に銘じておいてください。
知らんと大損するで!現地仕入れのリアルなデメリットと注意点
メリットを聞くと「よし、明日にでも現地に飛ぼう!」と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。現実はそんなに甘くありません。ワシが15年間この業界にいて、数え切れないほどの失敗例を見てきました。成功する人もいますが、失敗する人の方が圧倒的に多いのが現実です。
ここでは、現地仕入れの厳しい現実を、包み隠さずお話しします。
デメリット1:品質のばらつき(ベール買いという名のギャンブル)
まず最大のリスクは、品質のばらつきです。特にベール買いは、開封するまで中身が分からない完全なギャンブルです。ワシの300万円損失体験談でも触れましたが、「当たりベール」と「ハズレベール」の差は天と地ほど違います。
「当たりベール」の場合、本当に宝の山です。状態の良いヴィンテージアイテムがぎっしり詰まってて、1ベール5万円で仕入れたものが、日本で50万円以上の売上になることもあります。ワシも何度か経験しましたが、その時の興奮は今でも忘れられません。
でも「ハズレベール」の場合は地獄です。ワシの経験では、こんなパターンがありました:
「ブランドベール」と言われて購入したのに、開けてみたらノーブランドの安物ばかり。しかも、汚れや破れがひどくて、とても売り物にならないレベル。業者に文句を言っても「ブランド品も入ってたでしょう?」と、1点だけ混じってたナイキのTシャツを指して開き直られました。
「ヴィンテージベール」として購入したのに、中身は2000年代以降の新しい古着ばかり。しかも、明らかに工場の残布や、リサイクル工場で分別されたウエス(工業用雑巾)が大量に混入してました。
一番ひどかったのは、虫食いやカビ、異臭のする衣類が大量に入ってたベールです。開封した瞬間、倉庫中に異臭が充満して、作業員が全員マスクをしないと作業できませんでした。廃棄費用だけで10万円以上かかりました。
偽ブランド品の混入も深刻な問題です。特にタイのマーケットでは、精巧な偽物が堂々と売られてます。ナイキのスウォッシュマークが微妙に違ったり、アディダスの三本線の角度がおかしかったり。素人目には分からないレベルの偽物もあります。
ワシが見た中で一番精巧やったのは、シュプリームの偽物Tシャツでした。タグから縫製まで、本物と見分けがつかないレベル。現地の業者も「本物だ」と主張してましたが、日本に持ち帰って専門家に見てもらったら、やっぱり偽物でした。
こういうリスクがあることを知らずに、「安いから」という理由だけでベール買いに手を出すのは、本当に危険です。ギャンブルやと割り切って、損失を覚悟できる範囲でやるなら構いませんが、生活費や事業資金を突っ込むのは絶対にやめてください。
デメリット2:渡航費・輸送費・関税っていう「見えへんコスト」
次に大きな問題は、商品代金以外にかかる「見えへんコスト」です。初心者の多くは、商品の安さにばかり目が行って、これらのコストを軽視してしまいます。結果的に「国内の卸業者から仕入れた方が安かった」という本末転倒な事態になることが多いんです。
まず渡航費。日本からタイへの往復航空券は、時期にもよりますが5万円~10万円。パキスタンの場合は、直行便がないので経由便になり、10万円~15万円はかかります。宿泊費は、安いホテルでも1泊3,000円~5,000円。1週間滞在すると、宿泊費だけで2万円~3万円です。
現地での移動費も馬鹿になりません。タクシーやトゥクトゥクを使って市場を回ると、1日5,000円~1万円。通訳を雇う場合は、1日1万円~2万円が相場です。食費や雑費を含めると、1週間の滞在で最低でも30万円は見ておく必要があります。
次に輸送費。少量なら国際宅急便(クーリエ)を使えますが、1キロあたり2,000円~3,000円と高額です。10キロ送ると、それだけで2万円~3万円。大量に仕入れる場合は海上輸送になりますが、コンテナ1本(約20トン)で150万円~200万円かかります。
関税も忘れてはいけません。古着の場合、一般的に5.8%の関税がかかります。100万円分の商品を輸入すると、5万8,000円の関税です。パキスタンからの輸入の場合、特恵関税が適用されれば無税になりますが、原産地証明書が必要で、手続きが複雑です。
保険料、通関手数料、倉庫保管料なども加わると、商品代金の30%~50%が追加コストとしてかかることも珍しくありません。
ワシが計算した実例を紹介しましょう。パキスタンで100万円分の古着を仕入れた場合:
- 商品代金:100万円
- 渡航費・滞在費:30万円
- 輸送費:50万円
- 関税・諸税:10万円
- 保険・手数料:10万円
- 合計:200万円
つまり、商品代金の2倍のコストがかかってしまうんです。これでは、国内で150万円分の古着を仕入れた方が、よっぽど安上がりです。
しかも、これは「すべてがうまくいった場合」の計算です。ベール買いで「ハズレ」を引いたり、輸送中に商品が破損したり、通関でトラブルが発生したりすると、さらにコストが膨らみます。
デメリット3:治安・衛生・言葉の壁という現実
最後に、現地での安全面・衛生面・コミュニケーションの問題です。これらは、お金では解決できない深刻な問題です。
まず治安面。タイのバンコク市内は比較的安全ですが、それでも日本とは全然違います。ワシも夜中にタクシーで移動中、運転手に「この辺りは危険だから窓を閉めて」と言われたことがあります。女性の一人歩きは、日中でも注意が必要です。
パキスタンの治安は、さらに深刻です。外務省の海外安全ホームページでは、地域によって危険レベル1~4の情報が発出されてます。2024年4月には、カラチ市で邦人が自爆テロの被害に遭って負傷する事件も発生してます。
ワシがカラチを訪れた時は、ホテルから「夜間の外出は絶対に避けてください」と強く言われました。実際、夜中に銃声のような音が聞こえることもありました。現地ガイドも「ここは危険だから、長居は禁物」と、常に緊張してました。
全土で銃器を使用した強盗事件が頻発してるし、デモや集会も頻繁に発生します。2022年5月には、イスラマバード首都圏やカラチ市で大規模なデモが発生して、外国人の安全が脅かされる事態になりました。
衛生面も大きな問題です。古着の山には、虫やダニが大量に潜んでます。ワシも現地で作業してる時に、腕や足を虫に刺されて、しばらく痒みが止まりませんでした。マスクや手袋は必須ですが、それでも完全には防げません。
現地の水や食べ物にも注意が必要です。ワシは幸い大きな体調不良はありませんでしたが、一緒に行った仲間が食中毒になって、3日間ホテルで寝込んだことがあります。
言葉の壁も想像以上に大きいです。パキスタンの国語はウルドゥー語で、公用語は英語ですが、実際に話されてる言語は72にも及ぶと言われてます。現地の古着業者の中には、英語がほとんど通じない人も多いです。
ワシが経験した中で一番困ったのは、契約内容の認識違いでした。通訳を介して交渉してたんですが、微妙なニュアンスが伝わらず、「100ベール」のつもりが「100キロ」と理解されてて、現地に着いてから大混乱になりました。
商習慣の違いも深刻です。日本では「お客様は神様」的な考えがありますが、現地では「売ってやってる」という態度の業者も多いです。約束の時間に平気で遅れるし、「明日持ってくる」と言ったものが1週間経っても来ないなんてことは日常茶飯事です。
こういう現実を知らずに、軽い気持ちで現地に行くのは本当に危険です。十分な準備と覚悟なしに挑戦するのは、ワシは絶対におすすめしません。
ほな、どうすりゃええの?現地仕入れで成功するための3つの鉄則
ここまで読んで「じゃあ、海外仕入れは諦めた方がええんか?」と思われるかもしれませんが、そうやありません。適切な知識と準備があれば、確実に成功できる方法があります。ワシ自身、失敗の後に正しいやり方を学んで、年間500万円の利益を生むルートを確立できました。
ここでは、現地仕入れで成功するための3つの鉄則をお伝えします。これを守れば、リスクを最小限に抑えながら、海外仕入れのメリットを享受できるはずです。
鉄則1:いきなり一人で行かへん!まずは信頼できる案内人を探す
初心者がいきなり単独で現地に乗り込むのは、丸腰で戦場に行くようなもんです。絶対にやめてください。まずは、現地に精通したコーディネーターや、すでに取引実績のある日本の業者に同行させてもらうことから始めましょう。
ワシがタイで成功できたのも、現地パートナーの「ソムチャイ」との出会いがあったからです。彼とは2011年に知り合って、最初は小さな取引から始めました。1年間かけて信頼関係を築いて、彼の紹介で優良なベール業者にアクセスできるようになったんです。
信頼できる案内人の条件は、以下の通りです。
まず、現地での実績が豊富なこと。最低でも3年以上、その国で古着ビジネスに関わってる人でないと、本当の情報は持ってません。表面的な知識だけの人に頼ると、ワシのような失敗をする可能性が高いです。
次に、日本人との取引経験があること。日本の商習慣や品質基準を理解してる人でないと、期待と現実のギャップが生まれます。「これくらいの品質で十分でしょう」と現地の人が思っても、日本では売り物にならないレベルということがよくあります。
そして、現地の言語に堪能なこと。英語だけでなく、現地の言葉でコミュニケーションが取れる人が理想です。微妙な交渉や、トラブル時の対応では、現地語が必須になります。
案内人の探し方ですが、まずはSNSを活用しましょう。FacebookやInstagramで「タイ 古着 仕入れ」「パキスタン 古着 買い付け」などのキーワードで検索すると、現地で活動してる日本人や、日本語ができる現地の人が見つかります。
古着業界の展示会やセミナーに参加するのも有効です。そこで知り合った人のネットワークを辿ると、現地に詳しい人を紹介してもらえることがあります。ワシも、大阪の展示会で知り合った先輩経営者の紹介で、タイの信頼できるパートナーを見つけました。
ただし、案内人選びは慎重に行ってください。ワシのパキスタン失敗談のハッサンのように、甘い言葉で誘ってくる詐欺師もいます。実際に会って話をして、過去の取引実績を確認して、可能なら他の日本人顧客の紹介をもらってください。
最初は小さな取引から始めて、徐々に信頼関係を築いていくことが大切です。いきなり大金を投じるのは絶対にダメ。ワシの場合、ソムチャイとの最初の取引は10万円分だけでした。それで彼の人柄と能力を確認してから、徐々に取引規模を拡大していったんです。
鉄則2:「ベール買い」にこだわらず、自分の目で選ぶ「ピック」も検討する
ベール買いのリスクを避けるため、時間はかかっても自分の目で見て1点ずつ仕入れる「ピック」という方法も検討してください。初心者はまずピックで少量から仕入れ、現地の相場観や品質を見抜く「目利き」の力を養うべきです。
ワシが最初にタイで成功したのも、チャトチャック市場でのピック体験でした。2010年の初回訪問時、丸一日かけて市場を歩き回って、50点のヴィンテージTシャツを1点ずつ選んで仕入れました。時間はかかりましたが、すべて自分の目で確認した商品なので、品質に関するリスクはゼロでした。
ピックのメリットは、まず品質が保証されることです。自分の目で見て、手で触って確認した商品なので、「開けてみたらゴミだった」ということはありません。状態の悪い商品や偽物は、その場で排除できます。
次に、現地の相場観が身につくことです。同じブランドでも、状態や年代によって価格が大きく変わります。何度もピックを経験することで、「この商品はこの価格が適正」という感覚が養われます。これは、後にベール買いをする時にも役立ちます。
そして、現地業者との関係構築ができることです。ピックの場合、業者と直接やり取りする機会が多いので、信頼関係を築きやすいです。良い関係ができれば、「今度、良いベールが入ったら連絡するよ」と、優先的に情報をもらえるようになります。
ピックに適した場所としては、タイではチャトチャック市場が有名です。週末に開催される巨大な市場で、古着の店舗が数百軒並んでます。1点ずつ選んで交渉できるので、初心者にはおすすめです。
パキスタンの場合、カラチの一般市場でもピックは可能ですが、治安面のリスクがあるので、必ず現地ガイドと一緒に行ってください。KEPZの倉庫でも、業者によってはピックを受け入れてくれるところがあります。
ピックの注意点は、時間と体力が必要なことです。1日で仕入れられる量は限られるし、市場を歩き回るのは相当疲れます。ワシも最初の頃は、1日で足がパンパンになって、ホテルに帰ったら動けませんでした。
また、言語の壁もあります。価格交渉や品質確認で、細かいコミュニケーションが必要になります。現地の言葉ができない場合は、通訳を雇うか、日本語ができる業者を探してください。
でも、これらの苦労は必ず報われます。ピックで培った経験と人脈は、その後のビジネス展開で大きな財産になります。急がば回れ、という言葉通り、まずはピックから始めることをおすすめします。
鉄則3:リスクを冒す前に、まずは「国内の卸業者」を使い倒す
これが一番大事な鉄則です。海外渡航のリスクやコストを考えれば、特に初心者のうちは、国内の信頼できる卸業者から仕入れるのが最も賢明な選択肢です。
国内卸業者のメリットは、まず安全性です。詐欺に遭うリスクはほぼゼロだし、商品に問題があれば返品や交換も可能です。言葉の壁もないし、商習慣も同じなので、トラブルが起きても解決しやすいです。
次に、すでにプロの目で選別された質の良い古着を仕入れられることです。国内の卸業者は、海外から大量に仕入れた古着を、日本の市場に合わせて選別してくれてます。偽物や状態の悪い商品は、すでに排除されてるので、安心して仕入れができます。
そして、安定供給が可能なことです。海外仕入れの場合、良い商品が見つからない月もありますが、国内卸業者なら毎月安定して商品を供給してくれます。ビジネスの継続性を考えると、これは非常に重要なポイントです。
アフターサポートも充実してます。商品の販売方法や、トレンドの情報なども教えてくれる業者が多いです。初心者にとっては、こういうサポートは非常にありがたいです。
例えば、NIPPON47のようなサービスを使えば、わざわざ現地に行かなくても、日本全国の優良な卸業者と繋がってオンラインで仕入れができます。タイやパキスタンの現地法人も持ってるので、海外仕入れのノウハウも豊富です。まずはここで経験を積んで、ビジネスの土台をしっかり作ることが、遠回りに見えて一番の近道なんやで。
国内仕入れで月商100万円を安定して達成できるようになってから、海外仕入れにチャレンジするのが理想的です。その頃には、商品の目利き力も身についてるし、資金的な余裕もできてるはずです。
ワシが指導してる起業家の中で、3年後も生き残ってる人の85%は、最初の2年間は国内仕入れに専念してます。基本をしっかり身につけてから、応用に進む。これが成功の王道です。
海外仕入れは確かに魅力的ですが、それはあくまで「上級者向け」の手法です。基礎ができてない状態で挑戦すると、ワシのような大失敗をする可能性が高いです。まずは足元を固めて、それから世界に羽ばたいてください。
よくある質問(FAQ)
ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。ワシのところには、海外仕入れに関する質問がたくさん寄せられます。その中でも特に多い質問をまとめて、現実的な回答をさせていただきます。
Q1:資金はどれくらい必要ですか?
これは一番多い質問ですね。正直に言うて、思ってるより遥かにお金がかかります。
最低限必要な資金は、渡航費・滞在費で30万円、仕入れ費用で50万円、合計80万円は見ておいてください。でも、これは「すべてがうまくいった場合」の最低ラインです。
実際には、予期せぬトラブルが必ず発生します。飛行機の遅延でホテル代が余分にかかったり、現地で体調を崩して医療費がかかったり、期待してた商品が見つからずに追加で仕入れ先を探したり。こういう「想定外」のコストが、必ず発生するんです。
ワシの経験では、予算の1.5倍は用意しておくべきです。80万円の予算なら、120万円は準備してください。「そんなにお金がない」という人は、まだ海外仕入れをする時期やないということです。
特に初回は、勉強代だと思って臨んでください。利益を出すことより、現地の実情を知ることが目的です。2回目、3回目で徐々に利益を出せるようになるのが普通です。
Q2:女性一人でも可能ですか?
タイのバンコク市内であれば、日中の行動なら女性一人でも比較的安全です。でも、夜間の外出や、市場での大金を持った買い物は避けた方が無難です。
パキスタンの場合は、女性の単独行動は絶対におすすめしません。文化的にも、女性が一人で商売をすることに理解がない地域が多いです。必ず男性のガイドと一緒に行動してください。
どちらの国でも、現地の男性ガイドを雇うことを強くおすすめします。安全面だけでなく、交渉でも男性の方が有利な場合が多いです。ガイド料は1日1万円~2万円かかりますが、安全を買うと思えば安いもんです。
ワシが知ってる女性起業家で成功してる人は、みんな信頼できる現地パートナーを見つけてます。一人で無理をせず、チームで取り組むことが成功の秘訣です。
Q3:おすすめの渡航時期はありますか?
タイもパキスタンも、乾季(11月~2月)がおすすめです。この時期は気温も湿度も比較的低くて、長時間の市場歩きでも体力的に楽です。
雨季(6月~10月)は避けた方が無難です。スコールで市場が水浸しになったり、道路が冠水して移動が困難になったりします。ワシも雨季にタイに行ったことがありますが、1日中雨で市場が閉まってしまって、何もできずに帰国したことがあります。
また、現地の祝祭日や政治情勢もチェックしてください。イスラム教の断食月(ラマダン)の時期は、現地の人の活動が制限されるので、商売には向きません。
パキスタンの場合は、外務省の海外安全ホームページで最新の治安情報を必ず確認してください。政治的な混乱やテロの危険性が高まってる時期は、渡航を延期することも必要です。
Q4:ベール買いで「当たり」を引くコツはありますか?
残念ながら、「必勝法」は存在しません。ベール買いは完全に運頼みです。これを理解せずに「コツがあるはず」と思ってる人は、ギャンブル依存症と同じ心理状態になってます。
ただし、「ハズレ」を引く確率を下げる方法はあります。まず、信頼できる業者との関係構築です。長期的な取引を前提に、誠実な対応をしてくれる業者を見つけることが最重要です。
次に、ベールの外観チェックです。明らかに古すぎる梱包材や、異臭がするベール、重量が軽すぎるベールは避けてください。完璧ではありませんが、明らかな「ハズレ」は排除できます。
そして、少量から始めることです。いきなり大量購入せず、まずは1~2ベールで業者の信頼性を確認してください。ワシのように、いきなり100ベールも買うのは論外です。
でも、これらを守っても「ハズレ」を引く可能性は十分あります。ベール買いをするなら、損失を覚悟して、ギャンブルだと割り切ってください。
Q5:偽ブランド品のリスクはどの程度ですか?
タイのマーケットでは、偽物が堂々と売られてることがあります。特にナイキ、アディダス、シュプリームなどの人気ブランドは、精巧な偽物が多いです。
見分け方としては、まずタグをチェックしてください。フォントや印刷の質、縫い付け方などが、本物と微妙に違います。でも、最近の偽物は非常に精巧で、専門家でも見分けが困難なレベルのものもあります。
現地の業者に「本物か?」と聞いても、「本物だ」と答えることが多いです。彼らも本当に分からない場合もあるし、分かってて嘘をついてる場合もあります。
対策としては、怪しいと思った商品は仕入れないことです。「安いから」という理由で偽物を仕入れて、日本で偽物と分かったら、廃棄するしかありません。偽物と知って販売すれば、商標権侵害で法的な問題になります。
ワシの経験では、あまりにも安すぎる有名ブランド品は、偽物の可能性が高いです。「リーバイス501が1本500円」なんて話があったら、まず疑ってください。
Q6:現地での体調管理はどうすればいいですか?
これも重要な問題です。現地の水や食べ物で体調を崩す人は多いです。
まず、水は必ずペットボトルの水を飲んでください。氷も避けた方が無難です。ワシは現地のフルーツジュースを飲んで、お腹を壊したことがあります。
食事は、できるだけ火の通ったものを選んでください。生野菜や生魚は避けて、しっかり加熱された料理を食べてください。屋台の料理は美味しそうに見えますが、衛生面でリスクがあります。
常備薬も必ず持参してください。下痢止め、解熱剤、胃薬は最低限必要です。現地で薬を買うのは、言葉の問題もあって困難です。
また、古着の山で作業する時は、マスクと手袋を着用してください。ほこりや虫、カビなどで、アレルギー反応を起こすことがあります。
Q7:言葉ができなくても大丈夫ですか?
英語ができれば、タイでは何とかなります。でも、パキスタンでは英語が通じない業者も多いです。
翻訳アプリを活用するのも一つの方法ですが、商売の細かい交渉では限界があります。やはり、現地の言葉ができる通訳を雇うのが確実です。
ただし、通訳選びも慎重に行ってください。業者と通訳がグルになって、外国人を騙すケースもあります。できれば、日本人が経営してる現地の会社を通じて、信頼できる通訳を紹介してもらってください。
Q8:初回はどれくらいの量を仕入れるべきですか?
初回は「勉強代」だと思って、少量から始めてください。ベール買いなら1~2ベール、ピックなら50~100点程度が適当です。
利益を出すことより、現地の実情を知ることが目的です。業者の信頼性、商品の品質、現地の相場観、輸送の流れなど、実際に体験しないと分からないことがたくさんあります。
大量仕入れは、現地の状況を十分理解してからにしてください。ワシのように、いきなり大量仕入れをして大失敗するのは、本当にもったいないです。
これらの質問と回答を参考に、慎重に計画を立ててください。海外仕入れは確かに魅力的ですが、リスクも大きいです。十分な準備と覚悟を持って臨んでください。
まとめ:夢と現実のバランスを取って、賢い選択を
ここまで長い記事を読んでいただいて、本当にありがとうございました。ワシの300万円の大失敗から、現地仕入れのリアルな実態まで、包み隠さずお話しさせていただきました。
正直に言うて、この記事を読んで「やっぱり海外仕入れは諦めよう」と思った人もいるかもしれません。でも、それは決して悪いことやありません。リスクを正しく理解して、身の丈に合った選択をするのは、立派な経営判断です。
一方で、「それでも挑戦したい」と思った人もいるでしょう。その気持ちも、ワシはよく分かります。海外仕入れには確かに大きな魅力があるし、成功すれば大きなリターンも期待できます。
大切なのは、夢と現実のバランスを取ることです。「一攫千金」の甘い夢だけを見るのではなく、現実的なリスクも受け入れて、段階的にステップアップしていくことです。
ワシが15年間この業界にいて学んだ最大の教訓は、「急がば回れ」ということです。遠回りに見えても、基礎をしっかり固めてから応用に進む。これが一番確実で、結果的に一番早い成功への道なんです。
まずは国内の卸業者で古着ビジネスの基本を学んでください。商品の目利き力、販売のノウハウ、顧客との関係構築。これらの基本スキルを身につけてから、海外仕入れにチャレンジしても遅くありません。
NIPPON47のような信頼できるサービスを活用すれば、リスクを最小限に抑えながら、海外仕入れのメリットを享受することも可能です。プロの目で選別された商品を、安全に仕入れることができます。
もし海外仕入れに挑戦するなら、この記事で紹介した3つの鉄則を必ず守ってください。
- 信頼できる案内人を見つける
- ベール買いにこだわらず、ピックも検討する
- まずは国内卸業者で基礎を固める
そして、十分な資金と時間、そして失敗を受け入れる覚悟を持って臨んでください。
ワシの300万円の失敗も、今となっては貴重な経験でした。その失敗があったからこそ、正しいやり方を学ぶことができたし、多くの人にアドバイスできるようになりました。失敗は恥ずかしいことやけど、そこから学ばないのはもっと恥ずかしいことです。
古着ビジネスは、本当に奥が深くて面白い世界です。一着の古着に込められた歴史やストーリーを感じながら、それを次の人に繋いでいく。そんな素晴らしい仕事に携わってることを、ワシは誇りに思ってます。
あなたも、この素晴らしい世界で成功できるよう、心から応援してます。でも、無謀な挑戦はせず、賢い選択をしてください。ワシのような失敗をする人が一人でも減ることを願って、この記事を書かせていただきました。
何か分からないことがあれば、いつでも相談してください。一緒に頑張りましょう!
佐藤健一プロフィール
古着ビジネス専門コンサルタント。大阪で古着店2店舗を運営しながら、起業家向けのコンサルティングを行う。リーマンショック時の売上半減から在庫回転率2倍改善を実現した経験を活かし、実践的なアドバイスに定評がある。海外仕入れでの300万円損失体験を包み隠さず公開し、後進の指導に力を入れている。