「また来ます!」は社交辞令。リピーターをガッチリ掴む接客術と感動を呼ぶ「おもてなし」

「『また来ます!』この言葉、信じたらあかんで」。わいも昔は、この言葉を鵜呑みにして、お客さんが全然戻ってけえへん時期がありました。リーマンショックで売上が半分以下になって、スタッフもみんな辞めてもうて…。ほんまに店を畳もうかと思った時、わいを救ってくれたんが、数少ない常連さんやったんです。

この記事では、綺麗事やない、わいがどん底で学んだ、お客さんの心をガッチリ掴んで離さへん、ほんまの「おもてなし」と接客術を、経験談を交えて全部お伝えしますわ。

なぜ「また来ます」は社交辞令なのか?顧客の本音を見抜く3つのサイン

なぜ「また来ます」は社交辞令なのか?顧客の本音を見抜く3つのサインを図示した画像

お客さんの「また来ます!」を真に受けて、「よっしゃ!」なんて思ってたら、いつまで経っても店の経営は安定せえへん。正直に言うて、そのほとんどは社交辞令や。ほな、どうやって本音を見抜くか? わいが「RETRO STYLE」の現場でずっと見てきた、3つのサインを教えますわ。

滞在時間と視線の動きに注目せえ

本気で商品を気に入ってはるお客さんは、行動が全然違うんや。ただ商品を眺めるだけやなく、生地を触ったり、縫製を裏返して見たり、値札を何度も確認したりする。 一つの商品に対する滞在時間が明らかに長い。視線が商品の細部に向かってるか、それとも店内をキョロキョロしてるだけか。そこを見極めるんが第一歩やで。

会話の中の「ポジティブな質問」が本音の証拠

社交辞令の会話は、「へぇ、面白いですね」で終わる。でも、本気のお客さんは違う。「このジャケット、どんな歴史があるんですか?」とか「このデニム、どういう色落ちしていきますかね?」みたいに、商品の背景や未来について、愛情が感じられる具体的な質問をしてきはる。こういう質問が出たら、あんたの話を本気で聞きたいっていうサインや。絶対にチャンスを逃したらあかん。

【体験談】「また来ます」で本当に再来店したお客さんの共通点

昔、どう見ても買う気なさそうに店を出ていった若い兄ちゃんが「また来ます」って言うたんですわ。わいも「はいはい、おおきに」くらいに思ってた。でも一週間後、その兄ちゃんが友達3人連れて戻ってきたんや。「ここの店長の話、オモロイから聞いてみ」言うて。

びっくりしたけど、よう考えたらあの兄ちゃん、帰る前にわいが熱弁してた50年代のミリタリージャケットのジッパーについて、一つだけポツリと質問してきてたんや。「このジッパー、珍しいですね」って。あのたった一言に、彼の本気が隠れてた。社交辞令の向こう側にある、小さな「本音のサイン」を見つけることが、ほんまに大事なんやと、あの一件で学びましたわ。

【わいの実体験】売上半減のどん底から救ってくれた、常連さんとの物語

リーマンショックで売上半減、スタッフも全員退職…

2010年のことや。リーマンショックの余波で、あれだけ賑わってた店の売上が嘘みたいに半分以下になった。キャッシュはどんどん減っていくし、将来が見えへん不安から、あれだけ一緒に頑張ってくれたスタッフも一人、また一人と辞めていった。最終的には3店舗をほぼわい一人で回す状態や。毎日レジを開けても売上ゼロの日もあって、ほんまに心が折れそうやった。「もう、あかんかな…」って本気で店のシャッターを閉めることを考えとった。

「佐藤さんとこは無くならへんやろ?」一杯のコーヒーがくれた勇気

そんなある日、売上ゼロでため息ついてたら、ガラガラっとドアが開いたんや。近所で会社を経営してはる、常連の田中さん(仮名)やった。別に何かを買うわけでもなく、「佐藤さん、元気か?コーヒーでも飲もうや」言うて、缶コーヒーを2本差し出してくれたんですわ。

「正直、もう店しんどいんですわ」って弱音を吐いたら、田中さんは「アホ言え。あんたの店はただ服を売ってるだけやない。あんたが楽しそうに服の話するのを聞きに来てる客も、ここにおるんやで。ここは無くならへんやろ?」って笑い飛ばしてくれた。

その時、ハッとしたんです。わいはいつの間にか「売上」ばっかり見て、お客さんの顔を見てへんかった。売上よりも、お客さんとの繋がりこそが、この店の魂なんやと。あの一杯の缶コーヒーが、どん底におったわいに、もう一度立ち上がる勇気をくれました。

リピーターがおらん商売は、砂上の楼閣や

この体験から学んだんは、新規のお客さんを100人集めるより、たった一人の熱烈なファン(リピーター)の方が、経営がしんどい時に助けてくれるっちゅうことや。経営コンサルタントとして数字の話をすると、新規顧客の獲得コストは、リピーター維持コストの5倍かかると言われとる。でも、そんな数字以上に、田中さんのような常連さんが与えてくれる勇気やモチベーションは、金では買われへん。リピーターがおらん商売は、見た目は良くても、ちょっとした風で崩れてしまう砂上の楼閣なんやで。

明日からできる!感動を呼ぶ「おもてなし接客術」5ステップ

ほな、具体的にどうやってお客さんの心を掴むか。わいが実践してきた5つのステップを紹介するで。

ステップ1:ただの「店員」やなく「案内人」になれ

商品の説明をするだけやったら、ネットのレビューと変わらん。「この50年代のデニムはな、当時炭鉱で働く人たちのために作られてて、このポケットの形には〇〇っていう意味があるんやで」みたいに、商品の背景にあるストーリーや価値を語る「案内人」になるんや。物語はお客さんの記憶に残る。それが「この店で買う理由」になるんや。

ステップ2:お客さんの「名前」と「前の会話」を絶対に覚えろ

これは基本中の基本やけど、一番大事かもしれん。「〇〇さん、この前のシャツ、着てくれてますか?」この一言が言えるかどうかで、お客さんとの距離は劇的に変わる。わいはレジ裏に小さなノートを置いて、お客さんの特徴と話した内容を一行だけメモしてた。 全部覚えようとせんでええ。「週に3人だけ覚える」とか、小さな目標からで十分や。

ステップ3:売らんでもええ。「相談に乗る」時間を作れ

「今日は見るだけ」のお客さん、大歓迎や。すぐに購入に繋がらんでも、ファッションの相談に乗ったり、世間話をしたり、そういう時間が信頼関係を育てるんや。「このジャケットに合うパンツ、どんなんがありますかね?」って相談されたら、チャンスやで。自分の店の服やなくても、「それやったら〇〇みたいな古着屋に行ってみたらええのがあるかも」って教えてあげるくらいの余裕が大事。そういう姿勢が、結果的にお客さんを呼び戻すんや。

ステップ4:購入後が本当のスタート。「サンキューレター」で心を掴め

商品を買ってもらって「おおきに!」で終わったら三流や。本当の勝負はそこからやで。わいは高価なヴィンテージが売れた時なんかは、手書きのサンキューレターを後日送ってた。「あのジャケット、〇〇さんとこにお嫁に行けて幸せやと思います。たくさん着てあげてくださいね」みたいな一言を添えるだけで、お客さんの感動は全然違う。オンラインストアでも、手書きのメッセージカードを同封するだけで、心は伝わるもんやで。

ステップ5:お客さんを「ファン」にし、「コミュニティ」を作る

最終目標は、お客さんを「ファン」にして、店を中心とした「コミュニティ」を作ることや。常連さんだけを呼んだシークレットセールをやったり、SNSで常連さんのコーディネートを紹介したり。「RETRO STYLE」では、年に一回、常連さんたちとバーベキュー大会をやってた。もはや店員とお客さんの関係やない。そういう強い繋がりが、何にも代えがたい店の財産になるんや。

【これは絶対にやったらあかん】お客様が静かに去っていくNG接客ワースト3

良かれと思ってやったことが、逆にお客さんを遠ざけてることもある。わいの失敗談から、これだけは絶対にやったらあかん接客を3つ紹介するわ。

NG1:マニュアル通りの棒読み接客

「いらっしゃいませー」「ありがとうございましたー」。心がこもってない挨拶は、雑音と一緒や。お客さんにはすぐバレる。「この店員、やる気ないな」って思われたら、もう何の説明も響かへん。あんた自身の言葉で、感情を乗せて話さなあかん。

NG2:お客さんのファッションを批評・否定する

これはわいも若い頃にやってしまった大失敗や。良かれと思って「お客さん、その組み合わせはちょっと…こっちの方が絶対似合いますよ」って言うてしもうて、お客さんを怒らせて帰らせてしまったことがある。人は誰でも自分のセンスを否定されたくないもんや。まずは「その着こなし、素敵ですね」と肯定してから、「こんなアイテムを足すと、もっと良くなるかもしれませんね」と提案するんがプロや。

NG3:しつこい声かけ、早すぎるクロージング

お客さんは自分のペースで宝探しをしたいんや。 それを邪魔するような、しつこい声かけは絶対にあかん。お客さんが何かを探してるような素振りを見せたり、助けを求める視線を送ってきたりするまで、基本はそっと見守る。こっちからガツガツ行くと、お客さんはプレッシャーを感じて静かに店を出ていくだけやで。

よくある質問(FAQ)

Q: 接客がもともと苦手です。私でもリピーターは作れますか?

A: もちろん作れるで!大事なのは流暢に話すことやない。「お客さんのために」という誠実な気持ちが伝わればええんや。 口下手やったら、商品の良さを書いた手書きPOPを工夫するとか、方法はなんぼでもある。一番あかんのは、苦手やからって何もしないことや。

Q: お客様の顔と名前を覚えるのが苦手です。何かコツはありますか?

A: 無理に全部覚えようとせんでもええ。まずは「週に3人だけ覚える」とか、小さな目標を立てるんや。 わいがやってたんは、レジの裏に小さなノートを置いて、お客さんの特徴と話した内容を一行だけメモすること。 これだけでも全然違うで。

Q: 高価な商品が売れた時ほど、丁寧な接客を心がけるべきですか?

A: それは大きな間違いや。買う金額でお客さんを差別したら絶対にあかん。今日1000円のTシャツを買ってくれた学生さんが、10年後に一番のお得意様になるかもしれんのやで。全てのお客さんに、同じ熱量で向き合うことが大事や。

Q: クレームを言われた時、どう対応すればリピーターに繋がりますか?

A: まずは真摯に謝って、お客さんの話を全部聞くこと。言い訳は絶対にあかん。その上で、期待を超える対応をすることや。わいは昔、商品の不備でクレームを言われた時、全額返金した上で、そのお客さんが好きそうな別のヴィンテージ商品をプレゼントしたことがある。その人は今でも一番の常連さんやで。ピンチはチャンスなんや。

Q: オンラインストアの場合、どうやって「おもてなし」をすればいいですか?

A: オンラインでも心は伝わるで。 例えば、手書きのメッセージカードを同封する、商品の梱包を丁寧にする、発送完了メールに一言個人的なメッセージを添える、とかやな。SNSで商品を着て投稿してくれたお客さんには、必ず感謝のコメントをする。顔が見えへんからこそ、一手間が大事になるんや。

まとめ

「また来ます!」が社交辞令やなくなる瞬間、それは店員とお客さんの関係を超えて、人と人との繋がりが生まれた時やと思います。わいがどん底から這い上がれたんは、特別な才能があったからやない。ただ、目の前のお客さん一人ひとりと真剣に向き合ってきただけ。

この記事で紹介したことは、明日からすぐにできることばかりです。小手先のテクニックやなく、お客さんへの愛情を持って接すれば、あなたの店は必ずファンで溢れる場所になります。応援してます、一緒に頑張りましょう!