スタッフがすぐ辞める店、続いてくれる店。時給以上に大切な「働きがい」の作り方

「またスタッフが辞めてしもうた…」「なんでウチの店は人が続かへんのやろ…」。頭を抱えてる店長さん、その気持ち、痛いほどわかりますで。何を隠そう、ワシ自身が過去にスタッフの大量離職で店が潰れかける地獄を経験したからです。当時は「時給が安いからや…」なんて自分に言い訳してましたけど、本当の理由はそこやなかった。

この記事では、ワシがどん底の失敗から学んだ、時給以上にスタッフの心をつかみ、長く働いてもらうための「働きがい」の作り方を、ワシの恥ずかしい失敗談も全部さらけ出して、正直にお伝えします。これを読めば、あなたのお店もスタッフが活き活きと働いてくれる場所に変わるはずや。

「時給が低いから」は言い訳?ワシが体験したスタッフ大量離職の地獄と本当の理由

正直に言うて、昔のワシは典型的なアカン経営者でした。売上こそが全て。そう信じて疑わへんかったんです。

ワシの店が崩壊した日:3店舗でスタッフがワシ一人になった話

あれは2013年のことでした。古着ブームにも乗って、大阪市内で3店舗を展開し、売上は絶好調。天狗になってたんでしょうな。せやけど、その裏で店は静かに崩壊しとったんです。

ある日、一番信頼しとった店長から「辞めさせてください」と告げられました。それを皮切りに、まるでダムが決壊したみたいに、次から次へとスタッフが辞めていきました。わずか3ヶ月で、アルバイト含めて7人が退職。気づけば、3店舗の運営をワシ一人でやらなあかん状況になってました。

毎日、開店準備から閉店作業、接客、仕入れまで全部一人。睡眠時間は3時間。体力も精神も限界で、「もう全部終わりや…」と店の床で一人、涙を流したこともありましたわ。

「給料さえ上げれば…」という考えが招いた大失敗

当時、ワシはスタッフが辞める理由を「給料が安いからや」と思い込んでました。せやから、慌てて全体の時給を100円上げたんです。でも、結果は何も変わらんかった。むしろ、「お金で解決しようとしてる」って思われたんか、残ってくれてたスタッフとの溝は深まるばかり。結局、そのスタッフも辞めていきました。

この時、痛感しましたわ。金で人の心を繋ぎ止めようとするんは、一番やったらあかんことなんやと。 もちろん、生活できるだけの給料は大前提です。でも、問題の本質はそこやなかったんです。

スタッフが本当に辞めた3つの理由:今やからわかる「心のサイン」

どん底の中で、ワシは必死に考えました。「なんでみんな辞めていったんや?」と。そして、ようやく本当の理由に気づいたんです。

  1. ①ワシが自分の成功体験ばかり話していた(承認欲求の欠如)
    「ワシの若い頃はな…」が口癖。スタッフの意見に耳を傾けず、自分のやり方ばかり押し付けてました。彼らが「店のために」と考えてくれたアイデアも、「そんなんアカン」と頭ごなしに否定。彼らは店に貢献したい、認められたいと思ってたのに、ワシはその芽を全部摘んどったんです。
  2. ②売上目標しか見ていなかった(目的共有の欠如)
    朝礼で言うことはいつも「今月の売上目標は〇〇万円や!気合い入れていけよ!」。スタッフからしたら、「なんでそんなに売らなあかんの?」って話ですわな。店がどこを目指しているのか、お客さんにどうなってほしいのか、そういう大事な「夢」を全く共有できてへんかった。ただの駒としてしか見てなかったんです。
  3. ③「ありがとう」の一言がなかった(感謝の欠如)
    これが一番アカンかったかもしれまへん。スタッフが頑張ってディスプレイを変えてくれても、残業してくれても、「ご苦労さん」の一言だけ。やって当たり前やと思っとった。感謝の言葉一つで、人の心は温まるのに。ワシは、一番大事なことを忘れとったんです。

金だけやない!時給以上にスタッフの心をつかむ「働きがい」の正体

失敗のどん底でワシが気づいたんは、「働きがい」っちゅうもんの大切さです。一般的な調査でも、離職理由の上位には給料だけやなく、人間関係や仕事のやりがいが必ず入ってきます。

「働きがい」って、結局なんや?ワシなりの3つの答え

難しい言葉で言う必要はありまへん。ワシの経験から言うと、「働きがい」はこの3つに集約されますわ。

  • ①自分の成長を実感できること
    「昨日できなかったことができるようになった」「自分の接客でお客さんが喜んでくれた」。そんな小さな成功体験の積み重ねが、自信とやりがいに繋がります。
  • ②お客さんから直接「ありがとう」と言われること
    やっぱり商売の原点はこれですわ。自分の仕事が誰かの役に立ってる、喜ばれてる。この実感は何物にも代えがたい報酬になります。
  • ③店長や仲間から必要とされていると感じること
    「君がおらんと困るわ」「〇〇さんのおかげやで」。自分の存在が認められ、チームの一員として大切にされている感覚。これが「この場所で頑張ろう」という気持ちの土台になるんです。

なぜ「働きがい」があるとスタッフは辞めへんのか?

答えは簡単です。人は「お金のためだけ」には、心の底から頑張れん生き物やからです。「時給100円アップ」の喜びは一瞬で消えますけど、店長からの「〇〇さんのおかげで売れたわ、ほんまありがとうな!」の一言は、ずっと心に残るもんです。

働きがいを感じられる職場は、スタッフにとってただの労働場所やない。「自己実現の場所」「大切なコミュニティ」になるんです。そうなれば、少々のことがあっても「この店のために頑張ろう」と思ってくれるようになります。

あなたの店は大丈夫?働きがいがない店の危険なサイン

ちょっと胸に手を当てて考えてみてください。あなたのお店、こんなことになってませんか?

  • [ ] スタッフの目が死んでいる、笑顔がない
  • [ ] 「言われたことだけやります」という雰囲気が漂っている
  • [ ] スタッフ同士の私語や雑談が全くない
  • [ ] 新しい仕事を頼むと、あからさまに嫌な顔をされる
  • [ ] 「何か意見あるか?」と聞いても、誰も何も言わない

一つでも当てはまったら、要注意信号です。昔のワシの店は、全部当てはまってましたわ…。

明日からできる!スタッフが「この店で働きたい」と思うようになる5つの習慣

「働きがい」を作るんは、なにも特別なことやありまへん。店長であるあなたの、日々のちょっとした習慣を変えるだけでええんです。ワシが血と涙で学んだ、明日からできる5つの習慣を紹介します。

習慣1:売上目標やなくて「店の夢」を語る

「今月の目標は〇〇円!」も大事やけど、それだけやと心は動きまへん。それよりも、「この店を、地域で一番『ありがとう』が集まる場所にしたいんや」「服を通じて、お客さんの毎日をちょっとでもワクワクさせたいよな」といった、あなた自身の「夢」や「ビジョン」を語ってください。スタッフもその夢に乗っかってくれた時、初めて同じ船の仲間になれるんです。

習慣2:「ワシの仕事」やなくて「君の仕事」を任せる

細かい指示ばかり出すんはやめましょう。「このコーナーのレイアウト、〇〇さんのセンスでガラッと変えてみいひんか?」「インスタの投稿、君に任せるわ!」。失敗を恐れず、責任と裁量を与えるんです。任されたスタッフは「信頼されてる」と感じ、主体的に仕事に取り組むようになります。

習慣3:失敗を叱るな、挑戦を褒めろ

ワシのモットーは「失敗は成功の母」。スタッフが新しいことに挑戦して失敗しても、絶対に頭ごなしに叱ったらあきません。「なんで失敗したんや!」やなくて、「よう挑戦したな!ええ経験なったやんけ。次はどうしたら上手くいくか、一緒に考えよか」。この一言が、スタッフが挑戦を恐れない文化を作るんです。

習慣4:一日一回、名前を呼んで「ありがとう」を言う

これは絶対にやってください。どんな些細なことでもええんです。「〇〇さん、昨日のディスプレイめっちゃ良かったで、ありがとうな!」「〇〇さん、早めに出勤してくれて助かったわ、ありがとう」。具体的に、名前を呼んで、感謝を伝える。これを続けるだけで、店の空気は劇的に変わります。

習慣5:店長が一番楽しそうに働く

結局、これに尽きるかもしれまへん。店長の機嫌は、店の空気を決めます。ピリピリしてる店長の店で、スタッフがのびのび働けるわけないですわな。あなたが一番この店を愛して、一番仕事を楽しむ。その背中を見せることが、何よりのモチベーションアップに繋がるんです。

古着屋やからこそ作れる!「好き」を仕事にする最強の働きがい

ワシらがやってる古着ビジネスは、この「働きがい」を作りやすい、最高の仕事やとワシは思ってます。

「この一着」のストーリーをお客さんに伝える喜び

古着には、一つひとつに歴史とストーリーがあります。「このデニムは70年代のもんで、この色落ちは…」なんて知識を活かした接客は、ただ服を売るだけやない。文化を伝える喜びがあります。スタッフが専門知識を身につけ、それを自分の言葉でお客さんに伝えられた時、それは大きなやりがいになります。

スタッフの個性が「店の顔」になる楽しさ

古着屋のええところは、スタッフの個性を活かせるところです。「君の今日のコーディネート、めっちゃええやん!それが店の看板やで!」と伝えてあげてください。スタッフのファッションや「好き」という気持ちが、店の魅力に直結する。自己表現が仕事になるなんて、最高やないですか。

社割だけじゃない!知識とセンスが磨かれる最高の環境

毎日、いろんな年代、ブランドの服に触れることで、自然と知識とセンスが磨かれます。これは、お金では買えへん価値です。「この店で働けば、ファッションのプロになれる」。そう感じてもらえる環境こそが、時給以上の報酬になるんです。

よくある質問(FAQ)

Q: 年齢が離れた若いスタッフと、どうコミュニケーションを取ればいいですか?

A: 無理に若者言葉を使う必要はありまへん。大事なのは、相手を一人のプロとしてリスペクトすること。「最近どんな音楽聴いてるん?」みたいに、仕事以外の話で相手の興味関心を知ろうとする姿勢が、心の壁を溶かしてくれますで。

Q: 人間関係のトラブルが起きた時、店長はどう対応すべきですか?

A: 絶対に見て見ぬふりをしたらあきません。まずは当事者一人ひとりから、別々にじっくり話を聞くこと。その上で、「店としてはこうあってほしい」という明確な方針を伝えることが大事。感情的にならず、公平な立場で話を聞くのが鉄則や。

Q: モチベーションが低いスタッフには、どう接したらいいですか?

A: 「やる気出せ!」は一番言うたらあかん言葉。まずはそのスタッフが得意なこと、好きなことを任せてみることですわ。POP作りが得意かもしれんし、SNSが好きかもしれん。小さな成功体験を積ませて、「自分もこの店に貢献できるんや」と感じてもらうことが、やる気の第一歩になります。

Q: 時給を上げないと、結局良い人材は集まらないのでは?

A: もちろん、地域の相場に見合った時給は必要です。でも、それ以上に「この店で働くと、他では得られない経験ができる」という価値を伝えられるかが勝負。この記事で話した「働きがい」こそが、時給以上の魅力になるんです。

Q: 厳しいことを言わないと、スタッフが成長しないのではないでしょうか?

A: 厳しさと、ただ感情的に怒るんは全くちゃいます。アカンことはアカンと伝える必要はあります。でもその前に、「君に期待してるから言うんやで」という信頼関係を築けているかが重要。愛情のある厳しさやないと、人の心には響きまへん。

まとめ

スタッフが辞めていくんは、ほんまに辛い。ワシもあの頃は、自分の経営者としての才能のなさに絶望しました。でも、どん底を見たからこそ分かったんです。店を支えてくれるんは、結局「人」の心やと。

時給や条件も大事やけど、それだけやない。「この店が好きや」「この店長のためなら頑張れる」と思ってもらえる「働きがい」を作ること。それは、小手先のテクニックやなくて、店長であるあなたのあり方そのものが問われることやと思います。

この記事で紹介したことは、ワシが血と涙で学んだことばかりです。一つでもええから、明日から試してみてください。あなたの店が、スタッフの笑顔で溢れる場所になることを、心から応援してまっせ!