どうも!大阪で古着屋をやりながら、起業家のコンサルもやっとる佐藤健一です。
「値付け、これでほんまにええんやろか…」
古着屋の店長さんや、これから始めようっちゅう人なら、誰かて一度は頭を抱える悩みやないですか?安すぎたら利益が出えへんし、高すぎたらお客さんが寄り付かへん。
正直に言うと、わしも昔は値付けでぎょうさん失敗しました。海外から仕入れた商品で品質トラブル起こして300万円の損失を出したこともあります。ほんま、あの時は夜も眠れんかったわ…。
でもな、ある法則を知ってから、売上も利益も劇的に変わったんですわ。それが、今回お話しする「松・竹・梅」の価格設定術や。この記事を読めば、あんたのお店の利益を最大化する「値付けの黄金比率」が分かります。わしの失敗談も全部話すんで、しっかりついてきてくださいや!
目次
なんでか真ん中が売れる!「松・竹・梅」価格設定のカラクリとは?
まずは基本からいきましょか。「松・竹・梅」って聞くと、お寿司屋さんとかうなぎ屋さんを思い浮かべるかもしれへんな。あれ、なんでか真ん中の「竹」を頼んでまうこと、多くないですか?それにはちゃんとした心理的な理由があるんやで。
そもそも「松・竹・梅」の価格設定(価格段階法)てなんや?
「松・竹・梅の法則」ちゅうのは、3段階の価格帯を用意すると、多くの人が無意識に真ん中の「竹」を選ぶっていう心理効果のことや。海外では、イギリスの童話『ゴルディロックスと3匹のくま』にちなんで「ゴルディロックス効果」とも呼ばれとるんやで。物語の女の子が、熱すぎず冷たすぎない「ちょうどええ」スープを選ぶところから来とるんやな。
人間は「極端」と「失敗」を避けたがる生き物
ほな、なんで真ん中が選ばれるんか?それは、人間が「極端な選択」を避ける傾向があるからや。これを「極端回避性」って言います。
- 一番高い「松」: 「贅沢かな…」「もし買って失敗したらダメージでかいな…」
- 一番安い「梅」: 「安すぎて品質が心配…」「ケチやと思われたないな…」
こんなふうに、両極端の選択肢には心理的な抵抗が生まれやすいんや。そこで、「竹」が一番無難で「ちょうどええ」選択肢として魅力的に見えてくるっちゅうワケやな。
選択肢は「3つ」がキモ!2つや4つやとアカン理由
ここで大事なのが、選択肢は「3つ」がベストやということ。
- 2つの場合: 高いか安いかの二者択一になるんで、安い方が選ばれやすくなる。
- 4つ以上の場合: 選択肢が多すぎて、お客さんは選ぶのが面倒になってまう。「もうええわ」と、結局何も買わへんかった、なんてことにもなりかねへんのや。
せやから、お客さんに気持ちよく選んでもらうには「3つ」が黄金の数なんやで。
【古着ビジネス版】佐藤流!これが値付けの黄金比率や!
さて、ここからが本番や。この「松・竹・梅」の法則を、一点モノが多くて値付けが難しい古着ビジネスでどう活かすか。わしの15年間の経験から編み出した「黄金比率」を教えますわ。
まずは一番売りたい「竹」から決めるんや
値付けをするとき、多くの人が「梅(安いの)」から考えがちやけど、それはアカン。鉄則は、一番売りたい「竹」から決めること。
「竹」は、お店の顔になる主力商品や。利益率が一番高くなるように設定しつつ、お客さんにも「これ、ええやん!」と満足してもらえる価格帯にするのがポイントやで。
【古着屋の「竹」商品の例】
- 状態の良い人気ブランドのレギュラー古着(例:90年代のチャンピオン リバースウィーブ)
- トレンドのデザインやシルエットのアイテム
- 着回しが効いて、多くの人が手に取りやすい商品
「松」と「梅」は「竹」を引き立てる名脇役
「竹」が決まったら、次に「松」と「梅」を考えます。この2つは、「竹」を輝かせるための名脇役や。
- 「松」の役割: 「松」があるからこそ、「竹」がお得に見えるんや。これを「アンカリング効果」と言います。先に高い価格を見ることで、その後の価格が安く感じられるんやな。また、「うちはこんなスペシャルな逸品も扱ってるんやで」というお店の格を示す看板商品の役割もある。
- 「梅」の役割: 「梅」があることで、「竹」の品質に対する安心感が生まれる。「安かろう悪かろう」やない、ちゃんとした商品の中から選んでるんや、という納得感を与えられるんやな。
【古着屋の「松」「梅」商品の例】
- 松: 希少価値の高いヴィンテージ品、スペシャルなデザインのデザイナーズ古着
- 梅: トレンドからは少し外れたけどまだまだ着られるアイテム、少しダメージはあるけど味として楽しめる商品
ズバリ!価格の黄金比率は「松6:竹4:梅3」
長年の経験でわしがたどり着いた、利益を最大化させる価格比率。それはズバリ「松6:竹4:梅3」や。
例えば、主力商品である「竹」を4,000円に設定したとします。
- 竹: 4,000円(基準)
- 松: 6,000円(竹の1.5倍)
- 梅: 3,000円(竹の0.75倍)
この比率にすると、「松」はちょっと頑張れば手が届くかも、という絶妙な価格に見え、「梅」と比べると1,000円出すだけで「竹」の満足感が得られる、というお得感が出るんや。
| 価格設定例 | 役割 | |
|---|---|---|
| 松 | 6,000円 | 価値の基準を作り、「竹」をお得に見せる。店の格を上げる。 |
| 竹 | 4,000円 | 最も売りたい主力商品。利益率を一番高く設定する。 |
| 梅 | 3,000円 | 「竹」の品質への安心感を与え、買い物のハードルを下げる。 |
一点モノの古着をどう「松・竹・梅」に分類するか
「でも佐藤さん、古着は一点モノばっかりやから、どうやって松竹梅に分けるんですか?」
ええ質問やね!その通り、そこが古着屋の腕の見せ所や。コツは「カテゴリでグルーピングする」こと。
例えば、「Tシャツ」というカテゴリのハンガーラックの中で、松・竹・梅を構成するんや。
- 松: 80年代のヴィンテージバンドTシャツ(希少性)
- 竹: 90年代の企業ロゴTシャツ(人気・トレンド)
- 梅: シンプルな無地のポケットTシャツ(定番)
これを「スウェット」「シャツ」「アウター」みたいに、カテゴリごとに意識して商品陳列するだけで、お客さんは無意識のうちに商品を比較検討しやすくなる。結果として、一番売りたい「竹」が自然と売れていくようになるんやで。
わしも昔は失敗した!値付けで絶対にやったらあかん3つのこと
理論は分かったかもしれんけど、実践はまた別や。わしも偉そうなこと言うてますが、過去には痛い失敗をぎょうさんしてきました。皆さんは同じ轍を踏まんように、わしの失敗談を正直に話しますわ。
失敗談1:全部を「竹」にした結果、売上が半減した話
2010年頃、リーマンショックで景気が冷え込んだ時がありました。「お客さんの財布の紐も固いやろうから、ええもんだけを安く売ったろ!」と考えて、自分なりに「これは売れる!」と思う中価格帯、つまり「竹」クラスの商品ばかりを店に並べたんです。
結果、どうなったと思います?売上が半分以下に激減しました。
お客さんからしたら、店にある商品が全部同じような価格帯やから、何を基準に選んでええか分からんのですよ。「高い」も「安い」もないから、商品の価値が伝わらへん。結局、お客さんは選ぶことをやめて、店を出て行ってしまいました。この時、「選択肢」を用意してあげることの大切さを痛感しましたわ。
失敗談2:「松」の価値を伝えきれず、ただの”高い”商品になった話
起業したての頃、すごいヴィンテージのデニムジャケットを仕入れたんです。「これは店の看板になる!」と意気込んで、強気の値段をつけました。これがわしの店の「松」や、と。
でも、全然売れへん。それどころか、「竹」の引き立て役にもなってへんかった。なんでか?
「なぜこの価格なのか」という価値を、お客さんに全く伝えてへんかったからです。ただ高い商品をポツンと置いてるだけでは、お客さんには「なんか知らんけど高い商品」としか映らんのです。
この失敗から学んで、商品の背景(年代、ブランドストーリー、希少性など)をしっかり書いたPOPを付けるようにしました。価値が伝われば、「松」はただの高い商品やなく、「憧れのスペシャルアイテム」に変わるんやで。
失敗談3:「梅」の品質を下げすぎて店の信用を失った話
「梅」は安さが魅力やけど、絶対に品質を下げすぎたらあかん。これもわしがやった失敗です。
とにかく客寄せのために安い商品を増やそうとして、状態の悪いシミ付きや破れのある商品を「梅」として大量に並べた時期がありました。最初は物珍しさで手に取る人もいましたけど、すぐに客足が遠のきました。
常連さんから「最近、あそこの店は汚い服ばっかりやな」と言われてるのを知った時は、ほんまにショックでした。「安かろう悪かろうの店」というレッテルを一度貼られたら、信用を取り戻すのは並大抵のことやない。「梅」であっても、「この値段でこの品質ならアリやな」とお客さんが思える最低限のラインと、店のプライドは絶対に守らなあかんのです。
よくある質問(FAQ)
ここからは、皆さんからよく聞かれる質問に答えていきますわな。
Q: 松・竹・梅で売れる比率の目安はありますか?
A: あくまで目安やけど、「松:2割、竹:5割、梅:3割」くらいで売れることが多いと言われとるで。 もちろん、お店のコンセプトや扱う商品によって変わるから、この数字はあくまで参考程度に考えて、自分のお店のデータを見ながら調整していくのが大事や。
Q: オンラインの古着販売でもこの法則は使えますか?
A: もちろん使えるで!むしろオンラインこそ写真の見せ方で価値を伝えやすいから効果的や。カテゴリページで商品を並べる時に、松・竹・梅がバランス良く表示されるように意識するとええな。商品説明で「松」の希少性や「竹」のお得感をしっかりアピールすることが大事やで。
Q: セール品に応用する場合はどうすればいいですか?
A: ええ質問やな。セールコーナーの中でも「松(割引率低めやけど元値が高い良品)」「竹(割引率もそこそこで狙い目)」「梅(とにかく安い最終処分品)」みたいに分けると、お客さんは宝探し感覚で見てくれるで。ただ値段を下げるんやなく、セールの中にも選択の楽しさを作ってあげるんや。
Q: 「松」が全然売れなくても問題ないですか?
A: 問題ない。むしろ、それが正常や。「松」の一番の役割は、「竹」をお得に見せて、お店全体の格を上げることやからな。「うちの店はこんなすごいヴィンテージも扱ってるんやで」というのを見せる看板商品やと思えばええ。たまに売れたらラッキー、くらいの気持ちで大丈夫やで。
Q: 価格設定を見直すタイミングはいつが良いですか?
A: 最低でも3ヶ月に1回は見直したいな。季節の変わり目はもちろん、新しい商品を仕入れたタイミングや、お客さんの反応が鈍くなってきたと感じた時も見直しのチャンスや。データを見て、どの価格帯がよく動いているか、利益は出ているかを常にチェックする癖をつけることが重要やで。
まとめ
値付けはほんまに奥が深い「芸術」や。でも、今日話した「松・竹・梅」の法則は、誰でも実践できる強力な「技術」でもあります。
一番大事なのは、お客さんの心理を考えて、納得感のある選択肢を用意してあげること。そして、わしみたいに失敗を恐れずに、まずやってみることや。
【今日のポイント】
- 選択肢は「3つ」が基本!
- 一番売りたい「竹」から値段を決める
- 黄金比率は「松6:竹4:梅3」を目安に
- 失敗を恐れず、自分の店のデータを見て調整する
この記事を参考に、あんたのお店だけの「黄金比率」を見つけてください。値付けが変われば、明日からの売上がほんまに変わるで。応援しとります!一緒に頑張りましょう!