どうも、大阪で古着ビジネスやっとる佐藤健一です。
古着の仕入れに行くと、まるで宝探しみたいでワクワクしますやろ?ぎょうさんある服の山の中から、キラリと光る一枚を見つけ出した時の喜びは、ほんまに格別や。
でも、古着ビジネスを始めたい、もしくは始めたばっかりの人がよう悩むんが、「一体、何を見て価値を判断したらええんや?」ってことやないでしょうか。デザインや状態はもちろん大事やけど、それだけやと「お宝」を見逃してしまうかもしれん。
正直に言うと、ワシも昔はそうでした。デザインの好みだけで仕入れて、痛い目に遭ったことも一度や二度やない。せやけど、あるポイントを押さえるようになってから、仕入れの精度が劇的に上がったんですわ。
その答えが、今回お話しする「タグ」なんです。
たかが服に付いてる一枚の布切れ、そう思うかもしれへん。でもな、このタグには、その服が辿ってきた歴史、つまり「年代」「ブランド」「製造背景」といった情報がぎっしり詰まっとる。いわば、古着の「戸籍謄本」みたいなもんやで。
この記事では、ワシが15年以上、酸いも甘いも噛み分けてきた古着ビジネスの経験から導き出した、「プロが実践するタグの読み方」を、余すことなくお伝えします。これを読めば、あなたも明日から、古着の山が宝の山に見えてくるはずや。一緒に頑張りましょう!
目次
なんでタグがそんなに大事なん?ワシの失敗談から教えたるわ
「タグなんて、ブランド名が分かればそれでええやん」昔のワシは本気でそう思ってました。そのせいで、とんでもない大失敗をやらかしたことがあるんですわ。
300万円の損失!偽物掴まされた苦い経験
あれは2012年のこと。事業も少し軌道に乗ってきて、「もっと安く、大量に仕入れて売上を伸ばしたろ!」なんて調子に乗ってた時期でした。ある海外の業者から、「ヴィンテージのロックTシャツが格安で手に入る」という、今思えば怪しさ満点の甘い話が舞い込んできたんです。
当時はまだ経験も浅く、写真で見たTシャツのデザインにばかり目が行ってしもて。「これは売れる!」と確信して、なけなしの運転資金300万円をはたいて大量に仕入れたんですわ。
荷物が届いて、意気揚々と段ボールを開けた瞬間、血の気が引きました。Tシャツのデザインは確かにそれっぽい。でも、手に取った瞬間に分かるんです。「なんか、ちゃうな」と。生地はペラペラ、プリントはのっぺりしてる。そして決定的なのが「タグ」でした。
本来あるべきブランドのタグやなくて、明らかに後から付けたような安っぽいタグが付いてる。フォントもおかしいし、縫い付け方も雑。完全にやられましたわ。精巧に作られた偽物やったんです。
結局、そのTシャツはほとんどが売り物にならず、300万円は泡と消えました。あの時の悔しさと情けなさは、今でも忘れられへん。夜も眠れず、本気で廃業を考えました。
タグは古着の「戸籍謄本」や!
この大失敗からワシが学んだ一番大事な教訓、それが「タグを制する者は、古着ビジネスを制す」っちゅうことです。
タグには、その服の本物である証明はもちろん、以下のような情報が詰まっています。
- 製造された年代: ロゴのデザインや素材で、いつ作られたものかが分かる。
- 製造された国: 「Made in USA」など、生産国は価値を大きく左右する。
- ブランドの歴史: タグの変遷を追うことで、ブランドの歴史が見えてくる。
- 素材やサイズ: 当時の素材感やサイズ表記を知ることができる。
これらの情報が分かれば、その服の「本当の価値」が見えてくる。価値が分かれば、自信を持って仕入れができるし、お客さんにもその価値をしっかりと伝えて販売することができるようになるんです。
あの300万円は高い授業料やったけど、おかげでワシは「タグを読む」という最強の武器を手に入れることができた。今から、その武器の使い方を皆さんに伝授しますわ。
これだけは押さえとけ!古着タグの基本の「き」
まずは基本からや。どのブランドにも共通して言える、タグから年代や背景を読み解くためのポイントを5つ紹介します。これを知ってるだけで、見える世界が変わってくるで。
① ブランドロゴの変遷
有名ブランドの多くは、時代と共にブランドロゴのデザインを少しずつ変えています。 これが年代を特定する一番分かりやすいヒントになりますわ。
- フォント(書体)の違い: 昔は手書き風やったのが、今はシンプルなゴシック体になってる、とか。
- 大文字か小文字か: 例えばLevi’sの赤タブは、1971年頃を境に「LEVI’S」から「Levi’s」に変わったんは有名な話やね。
- デザインの追加・変更: 創業〇周年記念のデザインが入ってたり、キャラクターが追加されたり。
② 製造国(Made in …)
「Made in USA」この表記があるだけで、古着好きの心は躍るもんです。 なんでかというと、アメリカでの衣類生産は1990年代以降、コスト削減のためにほとんどが海外に移ってしまったから。 つまり、「Made in USA」は、品質が高かった古き良き時代のアメリカ製品である証なんですわ。
- ~1990年代初頭: 「Made in USA」が主流。特にワークウェアやデニムはタフな作りで評価が高い。
- 1990年代以降: アジアや中南米製が増加。
製造国を見るだけで、大まかな年代と、その服が作られた背景が見えてくるんやで。
③ 素材表記
今では当たり前のポリエステルやアクリルといった化学繊維も、昔はなかったもんです。素材の表記は、その服が作られた時代の技術力を示してくれます。
- ~1960年代: コットン、ウール、レーヨンなどが主流。
- 1970年代以降: ポリエステルが広く普及し始める。 Tシャツなどでよく見る「コットン50%/ポリエステル50%」の混紡素材(50/50)は、80年代から90年代によく見られる特徴やね。
④ ケアタグ(洗濯表示)
今では必ず付いている洗濯表示のタグ(ケアタグ)も、昔の服には付いてへんことが多いんです。
- ~1960年代: ケアタグが付いていないものがほとんど。
- 1970年代以降: 徐々にケアタグが義務化され、付くようになる。
タグの有無や、その表記方法(イラストか文字かなど)で、ざっくりとした年代が推測できるんや。
⑤ RNナンバー(アメリカ古着)
ちょっとマニアックやけど、アメリカ古着のタグによく「RN 〇〇〇〇〇」という番号が書かれてるの、見たことないやろか?これはRegistered Numberの略で、アメリカの連邦取引委員会(FTC)が企業に割り当てた登録番号のこと。参考ブログはこちら
このRNナンバーを専門のサイトで検索すると、その服を製造・販売した会社が分かるんですわ。マイナーなブランドで情報が少ない時でも、この番号から製造元を特定できることがあるんで、覚えておくと便利やで。
【基本の「き」まとめ表】
チェック項目 | 年代判別のヒント |
---|---|
① ブランドロゴ | フォント、大文字/小文字、デザインの変遷で特定。 |
② 製造国 | 「Made in USA」は主に90年代以前の可能性が高い。 |
③ 素材表記 | ポリエステルの普及は70年代以降。50/50混紡は80-90年代。 |
④ ケアタグ | 60年代以前はないことが多い。70年代以降に普及。 |
⑤ RNナンバー | アメリカ古着の製造元を特定できる。 |
【実践編】人気ブランド別!年代判別タグの見方
基本を押さえたところで、ここからは具体的な人気ブランドを例に、タグの変遷を見ていきましょう。古着屋で必ず出会うブランドばっかりやから、しっかり頭に入れてや!
Levi’s(リーバイス)編:キング・オブ・デニムの歴史を追う
言わずと知れたデニムの王様、リーバイス。タグの変遷が細かく、知れば知るほど奥が深いブランドや。
- 赤タブ: バックポケットに付いてる赤いタブが一番のポイント。
- ~1971年頃: 「LEVI’S」(通称ビッグE)。見つけたらガッツポーズもんや。
- 1971年頃~: 「Levi’s」(通称スモールe)。
- 紙パッチ: ウエスト部分の紙パッチも情報満載。
- ~1960年代中頃: 「501XX」のように、ロットナンバーの後に「XX」の表記が入るものがある。
- 内タグ: 70年代以降は、内タグに製造年月が記載されてることが多い。 例えば「5 3 524」とあれば、「524番工場で、3年の5月(1983年5月や1993年5月など)に製造」と読み取れるんや。
Champion(チャンピオン)編:スウェットの王者の変遷
リバースウィーブでお馴染みのチャンピオンも、タグで年代が分かりやすいブランドの代表格やで。
- 40~60年代: 「ランナーズタグ(ランタグ)」。ランナーの絵が描かれているのが特徴。年代によってデザインが細かく分かれる。
- 70年代: 「バータグ」。青いバーの中にブランド名が書かれている。
- 80年代: 「トリコタグ」。青・白・赤のトリコロールカラーが特徴。
- 90年代: 「刺繍タグ」。布へのプリントではなく、刺繍でロゴが施されている。
Carhartt(カーハート)編:ワークウェアの雄の顔つき
武骨でタフなイメージのカーハート。タグのデザインも力強い変遷を遂げとる。
- ~1960年代: 「ハートタグ」。ブランドロゴがハートマークの中にデザインされている。ヴィンテージ市場で非常に人気が高い。
- 1960年代後半~: 「Cロゴタグ」。現在もお馴染みのCのマークが登場。
- 1989年: 「100周年記念タグ」。創業100周年を記念した特別なタグ。これがあれば89年製と一発で分かる。
Ralph Lauren(ラルフローレン)編:アメトラの象徴
古着の定番、ラルフローレン。タグの種類も多くて面白いんや。
- 70年代: 「Polo by RALPH LAUREN」と、RALPH LAURENの部分が全て大文字。通称「大文字タグ」。
- 80年代: スイングトップなどに見られる「三角タグ」が登場。
- 90年代~: 「Polo by Ralph Lauren」と、小文字が使われるようになる。古着屋で一番よく見かけるタイプやね。
プロはここも見てる!タグ以外の年代判別ポイント
タグは最強の手がかりやけど、時には取れてしまってたり、印字が消えて読めへんこともある。そんな時でも諦めたらあかん。プロは服の他の部分、「ディテール」からも年代を読み解くんや。
ジッパーの種類(TALON, YKKなど)
ジッパーは年代判別の宝庫やで。 特にヴィンテージでよく使われるのが「TALON(タロン)」社製のジッパー。
- ~1940年代: ジッパーの留め具が「コ」の字の形をしている「コの字留め」。
- 40~50年代: ベル型の引き手が特徴的な「ベル型タロン」。
- 60~80年代: リーバイスのジーンズにも使われた「42TALON」。
ジッパーのブランドや形状を見るだけで、かなり正確な年代が分かることもあるんや。
縫製の仕方(シングルステッチ vs チェーンステッチ)
Tシャツやジーンズの裾の縫い方にも注目や。
- シングルステッチ: 縫い目が一本の線に見える。主に1990年代中頃までのTシャツの裾や袖口に見られる縫い方。 これを見つけたら「お、90年代以前か?」と期待できる。
- チェーンステッチ: 縫い目が鎖(チェーン)のように見える。ヴィンテージジーンズの裾に見られる特徴的な縫い方。
ボタンのデザインや刻印
ジーンズのトップボタンやジャケットのボタンもヒントになる。
- 月桂樹ボタン: 第二次世界大戦中の物資不足の時代(40年代)に、軍服でも使われていた既製品のボタン。
- トップボタン裏の刻印: リーバイスのジーンズでは、トップボタンの裏に工場の番号が刻印されていて、これが年代特定の重要な手がかりになることがある。
失敗せんための注意点と、ええ仕入れのコツ
タグの読み方をマスターしても、油断は禁物や。特に気ぃつけなあかんのが「偽物」の存在。ワシみたいな失敗をせんように、注意点を教えとくわ。
これは絶対にやったらあかん!偽物タグの見分け方
ワシが300万円を失った偽物。巧妙になっとるけど、よく見ればおかしな点があるもんや。
- フォントが違う: 本物のブランドロゴと見比べて、文字の太さや形が微妙に違う。
- 縫い付けが雑: タグの四隅の縫い方が甘かったり、糸がほつれていたりする。
- 表記がおかしい: ブランド名や素材のスペルが間違っているなんていう、分かりやすいミスもある。
- タグの質感: やけにペラペラだったり、逆にゴワゴワしすぎたり、質感が本物と違う。
少しでも「ん?」と思ったら、仕入れるのはやめとく勇気も大事やで。
信頼できるパートナーを見つけるのが一番の近道や
正直に言うと、一人で世界中の古着を全部見極めるなんて不可能ですわ。特に海外からの仕入れは、品質のバラつきや偽物のリスクが常につきまとう。 ワシも昔はベール仕入れ(圧縮梱包された古着の塊)で、「ブランド物のはずがノーブランドばっかりやった」「汚れや破れがひどくて半分以上売り物にならんかった」なんて失敗を繰り返しましたわ。
せやから、長くこのビジネスを続ける上で一番大事なのは、「信頼できる仕入れパートナーを見つけること」やとワシは断言します。
例えば、タイやパキスタンといった場所は良質な古着が集まることで有名やけど、個人で行くにはハードルが高い。そういう時は、現地の事情に詳しくて、品質管理をしっかりやってくれる専門の業者を頼るのが賢い選択や。
特に、現地に日本人スタッフが常駐して、一点一点検品してくれるような会社やと安心やね。そういう会社は、タグの真贋チェックはもちろん、状態の悪いものを事前に弾いてくれるから、こっちに届く商品のクオリティが安定する。結果的に、失敗のリスクを大幅に減らせるし、検品やメンテナンスにかかる時間も節約できる。
ワシが知る中でも、NIPPON47さんのような企業は、タイの自社工場で日本人スタッフがしっかり管理してはるから、品質面で信頼が置けるという話はよく聞きますな。遠回りなようやけど、ええパートナーを見つけることが、成功への一番の近道やで。
まとめ:タグを制する者は、古着ビジネスを制す!
長々と話してきたけど、伝わったやろか?
古着のタグは、ただの付属品やない。その服の価値を物語る、重要なストーリーテラーなんや。
最後に、今日の話をまとめとくで。
- 失敗から学べ!: タグを軽視すると、ワシみたいに手痛い失敗をする。タグは古着の「戸籍謄本」やと心得るべし。
- 基本の「き」を押さえろ: 「ロゴ」「製造国」「素材」「ケアタグ」「RNナンバー」の5つの基本ポイントで、大まかな年代と背景を掴む。
- 人気ブランドの変遷を覚えろ: Levi’s, Champion, Carhartt, Ralph Laurenなど、定番ブランドのタグの歴史を知れば、仕入れの精度が格段に上がる。
- ディテールも見逃すな: タグがなくても、ジッパー、縫製、ボタンから年代は推測できる。
- 信頼できるパートナーを見つけろ: 偽物や品質トラブルのリスクを避けるためにも、信頼できる仕入れ先を確保することが、長くビジネスを続ける秘訣や。
最初は難しく感じるかもしれん。でも、一枚一枚、意識してタグを見る習慣をつければ、自然と知識は身についてくる。古着屋に行って、宝探しをする感覚でタグをめくってみてください。
失敗を恐れたらあかんで。ワシかて、数えきれんほどの失敗をしてきた。でも、その一つ一つが今のワシを作ってくれとる。大事なのは、失敗から学んで、次に活かすこと。そして、何よりコツコツ続けることや。
この記事が、あなたの古着ビジネスの一歩を踏み出す、ええきっかけになったら嬉しいわ。
さあ、明日からタグを見て、お宝探しに出かけようやないか!応援しとるで!